動画コマースの未来と、その先にある「ネクストジェネレーション」な購買体験
私の実感として、TikTok Shopの登場は、ブランドが動画コンテンツを“当たり前に作る”きっかけになり、動画コマースの裾野を一気に広げました。米国市場では課題も露呈しましたが、「動画コマース」というフォーマット自体は、消費者が好む体験として今後も確実に拡大していくと見ています。実際、米国ではSNS、ECサイト、実店舗といったあらゆる接点を横断して一貫した購買体験を提供するユニファイドコマース(Unified Commerce)が“前提”になりつつあります。
こうした進化はTikTok Shopに留まりません。私が注目しているのは、中国の大手プラットフォームが見せている“Next Level”です。最新のアプリ体験は、ほぼ動画セントリックなUI/UXで、表示面の多くがライブかショート動画で構成され、静止画はごく限定的です。さらに、類似商品をタップすると、そのまま別の動画フィードに“滑らかに遷移”するなど、従来のECの枠組みを超える体験設計が実装されています。正直に言えば、米国も日本も、まだこの水準の体験には追いつけていない——私はそう感じています。
もちろん、TikTok Shopは重要なプラットフォームです。しかし、世界は常に更新されています。動画を起点とした購買体験の最前線は、国や地域を横断して次々に現れるという事実を、私たちは前提に置くべきです。
私自身、動画×コマースの専門家として、海外の先端事例を現場目線で吸い上げ、“信頼設計”と“体験設計”を両立する日本型アプローチへ翻訳していきます。読者のみなさまが、目前のプラットフォーム施策だけでなく、次の世代の購買体験を先取りできるよう、今後も継続的に知見を共有してまいります。
参考出典(本文内で引用した主なデータ)
・TikTok Shop 2024年GMV US$33.2B/米国US$9B(Momentum Works要旨)
・手数料の段階引き上げ(2%→6%→8%)/$0.30固定(2024年報道)
