年代別インサイトの注意点と今後の展望
今回、年代別インサイトについて2つの調査をしました。 美容市場は年代によって肌悩みや美容関心が異なるため、コミュニケーションにおいても美容ニーズを規定していくことが重要になると考えます。一方で推し活のように、価値観やビジュアルに共感する/自分のアイデンティティを表明する一部になる、など推し活を駆動するモチベーションは多様に存在しています。推す対象は同じでも、推し活に対するインサイトを捉えてコミュニケーションを考える必要があるのです(図6)。
また、今回あえてトレンドを語る際に「Z世代」という言葉を使いましたが、Z世代の多くは「Z世代のあなたへ」というように、Z世代ではない他者からカテゴライズされることには嫌悪感を示す傾向があります。
僕と私とが実施したアンケート調査によると、Z世代ではない人が「Z世代」について当たる内容に違和感を覚える割合は55.4%におよぶと言われています(図7)。
区切りやすいからと言って一口に世代をまとめて語ることは、実は世代のインサイトを捉えておらず、逆効果になってしまうこともあるかもしれません。
年代別のインサイトはあくまで切り口の1つとして捉え、施策やコミュニケーションごとに年代での区切りができるものか検討することが必要だと考えます。
α世代の存在によって、価値観の融合が加速する可能性
Z世代よりさらに年齢層の若いα世代(2010年以降に生まれた世代)についてのソーシャルボイスも徐々に、親世代であるミレニアル世代から見られるようになってきました。
たとえば『休日に会う学校の先生はプライベートだから声をかけるのは控えたほうが良い。と息子に言われた。』という投稿が話題になりました。
α世代は物心ついた時からインターネット上で無数の価値観や考え方に触れているため、相手の立場に立って物事を考える素地が身についていると考えられます。
物事を俯瞰的に捉えられるα世代とのエンゲージメントを高めるためには、親であるミレニアル世代の価値観をも意識した上で、双方に響くコミュニケーションを取る必要があるのではないでしょうか。
ソーシャル発のムーブメントを作るには?
年代別インサイトと合わせて、α世代のように俯瞰的に物事を捉えることで、今後様々に変化していくペルソナ像への対応方法が見えてくるのではないでしょうか。日頃からソーシャルリスニングを活用することで、ユーザーのちょっとしたインサイトの変化を捉えられるようになると考えます(図8)。
あらゆる世代のインサイトを捉え、共感者を広げていくことがソーシャルからムーブメントを作る鍵になるのではないでしょうか。
