社内に人材がいないなら「創造性のレンタル」という選択肢も
MarkeZine:人材派遣サービスは一般的ですが、北原さんは「Great RIVER」のどのような点に共感されたのでしょうか?
北原:特に共感したのは、ただ人材を派遣するだけでなく、そのレンタルを通じて、組織の根本に「創造性を生み出す文化」そのものをインストールすることを目指している点。Howのマーケティング人材は育っているが、0→1を生み出せる創造性人材が枯渇している日本企業にとって、「レンタル」は即効性のある解決策です。そして、その先にある文化・風土への定着こそが、企業の持続的な成長に不可欠だと考えています。
また、事業会社時代から「最高のアベンジャーズチームでマーケティングをできたらいいのに」というようなことを思っていました。アイディエーションが得意な人、データ分析が得意な人、営業に強い人、コミュニケーション設計に長けた人、素晴らしいクリエイター、デザイナー……と各分野のプロフェッショナルを社内外から集め、最小のリソースで、最大限の結果を出す。そんな理想とする組織のあり方が、「Great RIVER」なら叶うのではという期待もあります。

まだマーケティング組織がない、日本の99%の企業に還元したい
MarkeZine:最後に、MICHIやこれからキャリアの展望をお聞かせください。
北原:根底にあるのは「日本経済への貢献」と「マーケティング・ノウハウの還元」です。日本企業の99%は、まだマーケティングを取り入れていないと言われています。私は1%しかない企業に入り、マーケティングを学ぶことができました。残りのキャリアでは、残りの99%の企業に自分が培ってきたノウハウを還元したいという思いがあります。
日本には、繊細で精巧なモノ作りの技術を持つ企業がたくさんあります。しかし、多くの企業が「ブランド」に昇華しきれていません。ブランドを創ることができれば、世界に出ていける可能性が一気に広がりますし、事業継承もされていくはずです。素晴らしいモノ作りをしている企業こそが日本の未来を支えていくはず。そこに貢献することが、私の残りのキャリアの最大のミッションです。
そんな中で、実は独立して半年で自分のアパレルブランドも立ち上げました。
MarkeZine:北原さんのアパレルブランドですか?
北原:そうなんです、「MIDOT」というブランドです。独立するまでに時間があったので、絵を描いていたら、周りの友人がすごく褒めてくれて……あれよあれよと話が進んでいき、気づいたら事業を始めていました。「DOTを大人の分量で遊び心のSPICEに」というコンセプトで、すべて日本国内の縫製工場で生産しています。独立しても、いつか事業をやりたくなるだろうなと思っていたんですが、まさか半年で始めるとは……自分でもびっくりです(笑)。

独立して事業者という立場を離れても、投資や原価のリスクを負い、実際に価値を届けるという感覚を忘れてはいけないと思っていたのですが、まさに「MIDOT」を通してそれができています。
新しい価値に繋がるアイデアは、一見バラバラに見える色々な点と点が繋がって、ポンと生まれるものです。名もなき小さなブランドも、大企業には持てない独自の「点」を必ず持っています。そういった無数の点を繋ぎ、「未知なる道」を作っていく。それが、MICHIという社名に込めた思いです。私も、自分の心が動くままに点を描き、新しい道を作り続けていきたいと思っています。
