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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Spring

MarkeZine Day 2025 Retail(AD)

「CPA至上主義」が売上を停滞させる? リテールマーケティング転換期に見るべき「新・必勝KPI」とは

 「CPAが下がらない」「獲得しても売上につながらない」。リテール業界の最前線では今、従来のKPI管理が限界を迎えつつある。2025年11月に開催された「MarkeZine Day 2025 Retail」では、この課題に対する新たな解が示された。登壇したのは、広告からCRMまで一気通貫の伴走型支援を行う株式会社ゴンドラのプロデューサー・細野博昭氏だ。同氏は、効率的にコンシューマーへの認知・売上を伸ばすための鍵として「CPO×ROASへの転換」を提唱。経営層の承認を得てマーケティング投資を加速させるための、具体的なロジックと実践手法を解説した。

マーケティングのKPIが変化する転換期

 少子高齢化による新規顧客母数の減少や競合の新規参入などにより、顧客獲得の難易度は上がり獲得単価は高騰している。そうした状況でマーケティング活動を行うなか、どのようにして効率的にコンシューマーへの認知・売上を伸ばしていけばよいか、経営層に理解を得て投資を継続してもらうためにはどうすればよいかというのは、多くの企業にとっても共通の課題ではないだろうか。

 広告やデザインからCRM開発まで一気通貫でサポートし、企業に寄り添った伴走型支援を行うゴンドラの細野氏は、最近のマーケティングは求められる役割が変化してきたと話す。

 「これまでのマーケティングでは、集客施策に求められる主な役割は効率的な“反響数の獲得”でした。しかし今は、“契約(購買)につながる反響数の獲得”へと変化しています。そのため、マーケティング活動におけるKPIも従来メインだったCPAから、契約率や費用対効果を見るCPOやROASが着目されるようになってきました。我々は、この動きをマーケティングの転換期と位置づけています」(細野氏)

株式会社ゴンドラ プロデューサー 細野 博昭氏
株式会社ゴンドラ プロデューサー 細野 博昭氏

半数以上のマーケターが着目するKPIとしてのCPOとROAS

 ゴンドラではマーケティング情報を発信するオウンドメディア「LIFT」を運営している。同メディアで掲載しているマーケターへの調査コンテンツからも、CPOやROASへの注目度が上がりつつある動向がうかがえる。

 「現在、貴社の広告運用で主に使用しているKPIはどれですか?」という質問では、CPAが80%、CPOとROASが51%、LTVが31%という結果となった。

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 「CPA重視の広告運用における課題として、どのような点が最も問題だと感じていますか?」という質問では、「CPAの低い広告媒体に配信を寄せても売上に繋がらない」が49%と一番多かった。続いて「獲得した顧客の質が低く売上に繋がらない」が47%、「CPAは低くてもリピート率も低い」が34%、「LTVの向上が難しい」が25%、「データやレポートの分析が不十分で次の施策が決められない」が19%となった。

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 「まだまだCPAが主流であるものの、既にマーケターの半数以上がCPOやROASにも着目しています。そして、各社CPA重視の広告運用に様々な課題を持っている現状があります」(細野氏)

KPIを移行することへの課題

 ゴンドラの運営する「LIFT」では、KPIをCPOやROASに移行することについてもマーケターへの調査を行っている。「広告運用のKPIをCPAからCPOやROASに移行した経験はありますか?」という質問では、「経験あり」が73%という回答となった。

 「CPOやROASを重視する広告運用において、どのようなデータやツールを利用していますか?」という質問では、「CRMツール」が68%、「MAツール」が54%、「自社データベース」が44%、「広告媒体の管理ツール」が36%、「カスタマープラットフォーム」が22%だった。

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 前の回答からKPIを移行する動きは顕著なように思えるが、そう簡単ではないようだ。「CPAからCPO、ROASにKPIを移行する際に苦労した点は何ですか?」という質問では、「運用担当者のスキル不足」が58%、「社内の理解を得ること」が56%、「必要なデータの収集・統合」が49%、「適切なツールの導入」が36%となるなど、現場では様々な課題があることが見えてくる。

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 「我々は、CPOをどのような観点で算出すればよいかについてもお客様に寄り添いながら支援し、しっかり逆算しています。そうすることで、課題が明確になりKGIが見えるようになってきます。マーケティング現場の悩み解決のために、施策が契約や事業、KGIにどれだけつながるかをきちんと指標化して、それを運用管理する時期にきていると感じています」(細野氏)

 ゴンドラでは、運用型Web広告とアフィリエイト広告のコンバージョン成果を統合するツール「EnConnect(エンコネクト)」を提供している。これにより、重複成果への支払いを防ぎ、各チャネルの貢献度を正しく評価することでコンバージョンを最適化し、結果としてKGIにどれだけつながったのかを見定めることができるのだ。

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 あるクレジットカード会社の事例では、約3ヵ月でカード発行単価が30%改善されたという成果が出ている。

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OOHのリーチや効果は計測できる

 プロモーションには直接・間接含め様々な方法があるが、ここでは効果的な認知施策であるOOHにフォーカスしていく。OOHは、どれだけリーチできたのかを把握しにくい、投資対効果を算出できない、クロスメディア効果の計測が難しいと思われがちだが、細野氏はそれを否定する。

 「ジェイアール東日本企画(jeki)が提供しているサービス『MASTRUM(マストラム)』を使えば、OOHの広告効果を可視化できます。jekiとは共同出資して合弁会社を設立する関係にあり、当社で『MASTRUM』を提供する環境を整えています。OOHの視認を数値化できるほか、掲出の指定が可能で、駅や車両以外にレジのサイネージや街頭OOHにも展開できます。つまり、OOHにデジタルを加えたDOOHに対応しています」(細野氏)

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 「MASTRUM」ではリアルタイムでのデータ取得、車両乗車人数からの拡大推計、インプレッションの算出もできる。そうしたデータから、ブランドリフトを調査したところ、Webのみが51.2だったものと比べてWebにOOHを組み合わせた場合は90.2と39ポイント認知リフトが高くなった。さらにTVを組み合わせたトリプルメディアでの展開では、168.3とWebのみの3倍以上の成果が出た。

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 「当社で実際に計測したものでは、WebのみとWeb×OOHを比較すると233%増でした。指名検索のキーワード数もかなり増加したという結果が出ていますので、間接効果も出ていて、しっかり計測ができています」(細野氏)

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社内でマーケティング予算が承認されるために

 マーケティング活動において、CFOや財務担当者などの社内から効果を理解され、予算を確保することも必要となる。細野氏は、成果を出すために必要な予算獲得の考え方として、「1、KGI/KPI設定目標を明確に」「2、施策実施コストを明確に」「3、ROIを算出」の3つを挙げた。

 加えて、最適な予算配分のために意識したいポイントとして、「1、KPI設定/コストの算出データ」「2、施策の優先順位」「3、施策実施後の効果検証」「4、施策効果と柔軟な配分」の4つを挙げた。

 実際、どのように算出しているのだろうか。ゴンドラが手がけたBtoC企業のLINE友だち登録を目標とした事例では、KGI(LINE経由の売上目標)を3億円とした。

 まず、既存の友だちの獲得単価と顧客単価(LTV)、新規友だちのCVRを割り出す。そして3億円から既存の友だちの売上を引いた額2.4億円をまかなう新規友だちの人数と、その獲得にかかる予算を計算する。その結果、必要な新規友だち数は約23,000人、獲得予算は約930万円となった。さらに費用対効果(新規売上に占める広告費の割合)を3.81%と算出した。「2.4億円の売上を作るためのコストが4%弱で済む」という具体的な根拠を示すことで、財務担当者に対しても「この投資は利益を圧迫せず、確実にリターン(ROAS)が見込める」と判断させる強力な説得材料になる。

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 「当社では、どこがKGIで何がKPIかを具体的に算出してお見せできます。そうすることで、CFOや財務担当者がマーケティング予算の必要性に納得し、社内で投資してもらえるようになります」(細野氏)

理屈だけでなく感覚も重視した取り組み

 ことリテール業界においては、マーケティングの成果は「買ってもらってなんぼ」だと言える。ゴンドラではデータやツールに基づく施策だけでなく、KPIを考慮したロジックにコンシューマーの感情創出を掛け合わせ、クリエイティブに落とし込む活動もしている。

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 「たとえばブランディングでは、しっかりとストーリーを立ててコピーやビジュアルの制作をします。昨今はSNSの運用代行の引き合いも多くなっていますが、動画も含めたコンテンツの制作から手掛けることもできます。しっかりとお客様が気づいていない価値を引き出したい、あるいはお客様のお客様がまだ気づいていない価値を引き出したいと考え取り組んでいます」(細野氏)

 最後に、細野氏は「なぜ私たちはそこまでやるのか。それは、お客様のゴールが私たちのゴールだからです。そのために一気通貫でご支援していきます」と力強く述べ、講演を終えた。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社ゴンドラ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/15 11:00 https://markezine.jp/article/detail/50169