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ソーシャルから見るトレンド・ムーブメント

「乗っかりミーム」「AI」「ゆるツラ」……2025年の年間SNSトレンドを徹底解剖!

トレンドから見えてきた今後も注目が高まる兆し「ゆるツラ」

 続いて、2024年時点で2025年に流行すると言われていた「ゆるツラ(ゆるくツラい)」についてSNSでの話題から、実際にトレンドとなっているのか?を振り返っていきます。

 ゆるツラとは、「楽をしたい、でもやった感も欲しい」という、相反するニーズを満たすトレンドを表す言葉です。

 前ページでも触れたように、2025年はAIが急速に日常生活に定着しました。その中で、日常のちょっとした行動もAIによって効率化することができ、「タイパ・コスパ」や「効率化」を考えることが当たり前になってきています。

 一方で、話題への乗っかりは「ひと手間かける投稿作り」が必要です。このように、相反する行動が見られたことからも「ゆるツラ」は少しずつ広がりつつある考え方と言えると思います。

 他にも「ゆるツラ」を表すような事例がありました。ここで3つの事例(図8)から、ゆるツラがもとめられる理由を考えてみましょう。

【図8】事例に見る「ゆるくツラい」が求められる理由
【図8】事例に見る「ゆるくツラい」が求められる理由

 ゆるツラを表す3つの事例

  • ピラティス:ピラティスの話題はXでも増加しており、「自分にいいことをしているが、辛すぎない」ちょうどよいバランス感がユーザーのインサイトに合っていると言えます。
  • レシピ投稿:最近、レシピ投稿に引用リポストで実際にレシピを作ってみた投稿をする人が増えてきています。ちょっとしたチャレンジを楽しみながら、SNSで発信をすることで達成感を味わうことにつながっています。
  • アイスチャレンジ:勉強する学生のあいだで流行し、「氷が溶けるまで勉強をする」様子を動画で撮影するものです。あえて時間を決めるのではなく、氷が溶けるという不定格な要素を用いることで、ゲーム感覚で圧迫感なく勉強ができるチャレンジとなっています。

 こうしたゆるツラが広まる背景には次の3つの要因があると考えます(図9)。

【図9】ゆるくツラが広まる要因
【図9】ゆるくツラが広まる要因

自己理解文化の定着

 MBTI診断などにより、自分自身の性格や特性を理解しているからこそ、自分のツラ範囲を把握している人が増加しています。自己効力感を高めるために、あえて「ツラい」が選択できるようになってきています。

SNSのチャレンジ文化

 アイスチャレンジのように、SNS上で発信していくことでゆるいコミュニティ感を感じられ、義務感なく続けられることが、ゆるさとツラの両立のしやすさにつながっています。

データリテラシーが向上し自己管理が簡単に

 AIのチャット機能でパーソナルトレーナーとしてカスタマイズしたり、睡眠データや体重・健康状態がデータとして入手できたり、効率よく自己管理できるようになりました。

 一方で、あらゆるものをAIにおすすめされてしまうようになったことで、「自分で選んでいる」感覚が味わいづらくなり、快適すぎることへの違和感が生まれていることも、ツラを選ぶ理由と考えられます。

 このような「ゆるツラ」が求められる背景まできちんと理解すると、2026年以降も形を変え「ゆるツラ」が浸透していくと予想します。

今後のトレンドを生むポイント

 2025年のトレンドを見てきて、今後もトレンドとなっていく上で必要なポイントは3つあると考えます(図10)。

【図10】2026年に向けたトレンドのポイント
【図10】2026年に向けたトレンドのポイント

1.その場のノリでゆるいつながりを感じられること

 強固なコミュニティだけではなく、その場に居合わせるようなゆるいつながりが求められています。

2.現実と空想を理解した上で楽しめる

 AIであることも強みにしたコンテンツのほうがユーザーに受け入れられやすい傾向があります。

3.ゆるツラ:ツラすぎない達成感を味わえる

 すべてをAIなどで効率化していくのではなく、その中でやった感を感じられることが今後も重要になっていくと考えます。

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この記事の著者

65dB TOKYO(シックスティーファイブデシベル トウキョウ)

 65dB TOKYOは、ソーシャルリスニングを中心としたマーケティング支援チームです。「65dB」とは、人々が通常の会話で発する音声の強さ(65デシベル)から名付けられており、生活者の声からブランドアクションを生み出す分析および戦略立案を行います。また、TBWA HAKUHODO傘下に組織を置くことで、グローバルレベルのクリエイティブチームとも連携し、マーケティングプロセスをワンストップで支援することも可能です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50193

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