過去のしくじりと米国事例から、日本企業が学べること
日本企業が陥りがちなのは、「Amazonのような巨大垂直統合モデルは真似できない」と立場の違い探しに終始してしまうことだ。
たしかに、セブン&アイやイオンのようなリテール・コングロマリットであれば、Amazonのようにロボティクス・アプリ・物流・店舗体験までを自社で統合する道もあるが、莫大な投資と長い時間が必要だ。
上記2社ほど巨大ではない多くの上場企業にとって現実的な選択肢は、「Walmart型の地道な長期エコシステム構築」に近い。
WalmartはSymboticを買収し、「自社の主要店」を活かして顧客基盤をプラットフォームとして開放。国内のロボティクス企業やAIスタートアップ、そしてMicrosoftのような巨人パートナーとの出資および共創を通じて、「強靭な鍋底(エコシステム基盤)」を構築するという戦略をとっている。
Kroger×Ocadoのように「発注者とベンダー」の閉じた関係性に留まると、“薄い鍋底”のまま限界を迎える。Amazon×Whole Foodsのような垂直統合、またはWalmart×Symboticのような出資・合弁レベルでの深い連携が、チェーン店規模の事業のヒントになる。
これは単なる物流産業の「後付け補完」ではない。ブランド事業主にとっても、次なる成長の鍵は「顧客体験の統合」と、それを支える「強靭な鍋底(エコシステム)」の準備にある。テクノロジー・店舗・物流を含むアセット(資産)の投下競争が、新たな競争軸として顕在化してきたということだ。
