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MarkeZine Day 2026 Spring

イベントレポート(AD)

Faber Company・LayerXに学ぶB2Bイベント成功の分岐点。「世界観設計」と成功のカギ

 イベントやウェビナー開催に取り組む企業が増加する中、成果を出すための設計難易度は上がっている。しかし、イベントは単なるリード獲得を超えた深い価値や役割を持つ。2025年12月にシンフォニティが開催した「B2B EVENT GROWTH BASE」では、自社カンファレンスを成功させたFaber Companyの月岡克博氏とLayerXの元木雄介氏が登壇。AiKAGIの富家翔平氏を特別モデレーターに迎え、イベントの世界観の設計から運営・実施の工夫まで、実践者の経験談を深掘りした。本記事では、CPL(リード獲得単価)などの従来指標に縛られない、事業成長を牽引するイベントの在り方をレポートする。

BtoB領域における注目イベントの主催者が集う

 「B2B EVENT GROWTH BASE」は、「イベントで、事業成長を起こす」をキーワードに、イベントやカンファレンスを通して事業成長を目指すマーケター・事業責任者に気づきや知見を提供するイベントシリーズ。初回となった今回は「成功カンファレンスの裏側戦略に迫る&マーケター忘年会」をテーマに開催された。

 このイベントの主催であるシンフォニティは、イベント・動画といったビジネスコンテンツのプロデュース・制作によって企業の成長を支援している。モデレーターを務めた代表取締役の菅原氏は、「多くのBtoBイベントを支援している立場からすると、イベントを通じて作り上げたい“世界観”の設計から具体の施策まで、成功者の考え方を探索することは非常に重要と考えています。本イベントを通じて参加者の皆様にはぜひ気づきをお持ち帰りいただき、今後の企画立案にお役立ていただきたい」と冒頭に述べた。

 パネリストには、Faber Company 執行役員の月岡氏が登壇。SEO・アクセス解析の“大御所”と呼ばれるメンバーが在籍する同社は、Webマーケティングツールの「ミエルカ」シリーズを主力ソリューションとして展開している。2025年7月には「Japan SEO Conference」を開催し、リアル200名/オンライン3,000名超の参加者を集めた。

 そして、LayerXからはイベントマーケティング グループマネージャーの元木氏が登壇した。「すべての経済活動を、デジタル化する。」をミッションに掲げる同社は、2025年10月に「バックオフィスAIサミット」を開催し、リアル500名/オンライン1,300名(配信は12月)という大規模動員を実現。「AIで変わる経理と業務自動化の未来」を考える場となった。

 また、大企業からスタートアップまで様々なBtoBマーケティングに携わってきたAiKAGIの代表である富家氏が、セッションの特別モデレーターとして参加した。

イベントで目指した「世界観」

 最初のトークテーマは、イベントで作りあげたかった「世界観」。イベントを開催するにあたって「リード〇件獲得」「商談〇件創出」といった数値目標を掲げる企業は多いだろう。しかし、そもそもリード獲得・商談創出だけであればイベント以外の手段もある。なぜイベントという手段を選ぶのか、すなわち前提として「こういう世界観を作りたい」という想いがあり、その世界観実現の手段としてイベントを選択する、といった本質的な目的の言語化がイベントの成功には不可欠となる。

 Faber Companyの場合、イベント開催を通してSEOのリーディングカンパニーになることを目指したという。

 「日本には本格的なSEOカンファレンスが存在しない一方、海外では参加費数十万円の大規模イベントが開催されています。AI検索時代、日本のSEO領域における金字塔的な存在として『日本のSEOの中心にJapan SEO Conferenceがある』『そしてそのイベントを主催する自分たちこそが、リーディングカンパニーである』という世界観を構築したいと考えました」(月岡氏)

株式会社Faber Company 執行役員 月岡克博氏
株式会社Faber Company 執行役員 月岡 克博氏

 実際にコンテンツを企画する際も、業界内で実力を持つ人材に、自分たちが実現したい世界観を共有して協力を依頼。スポンサーに対しても世界観から丁寧に説明し、「日本のSEOを盛り上げる」という一貫した目的を示したことで協力を得られたという。

 一方、LayerXがイベントで作りたかった世界観は「経理の働き方の“これまでの当たり前”を見直し、“AI活用を当たり前”にする」だ。

 「経理は税率による仕分けなど厳密性が求められる業務です。人によってプロンプトの書き方が異なるとアウトプットがブレてしまうなど、AI導入は困難が多いとされています。この現状を変革したい想いがありました」(元木氏)

株式会社LayerX バクラク事業部グロースマーケティング部 イベントマーケティンググループマネージャー 元木雄介氏
株式会社LayerX バクラク事業部グロースマーケティング部
イベントマーケティンググループマネージャー 元木 雄介氏

 両者の説明を聞いた富家氏は、「当初の尖った世界観が次第に丸くなったり、参加者よりもスポンサーを優先するなどの都合で変わってしまったりすることはありませんでしたか」と質問を寄せた。これに対し、元木氏は「世界観設定において最も大切にしているのはユーザー視点」と回答。ユーザーを主語とした設計を徹底し、明確な世界観を設定することでブレを防止しているとした。

なぜイベントという手段を選んだのか。対面で行う価値とは

 そういった世界観を作り上げたいという想いを持った上で、両社はなぜイベントという手段を選んだのだろうか。

 月岡氏が挙げたのは、「オンライン疲れによるリアル回帰」「リアルSEOコミュニティを作る」だ。コロナ禍によりウェビナーが主流となったが、オンラインでは熱量の共有やリアルなコミュニケーションが難しく、真の価値創出には限界があると感じていたという。

 また、既存のSEOコミュニティがなくなりつつあった背景からも、SEO担当者たちの横のつながりができるリアルの場でコミュニティの必要性を感じていた。Japan SEO Conferenceの参加は有料としたが、200名のキャパシティに対して2倍以上の申し込みが殺到。多くのSEO従事者のリアルな交流へのニーズが可視化された。

 また元木氏は、イベントという手段を選んだ理由について「財務経理部門向けで、ユーザーの声が主体となるAI領域のオフラインイベントがない」と答えた。

 経理職はマーケティングや営業と比較して、外部との交流機会が少ない傾向にある。オフラインでの直接対話と懇親会の設定により、経理担当者同士の横のつながりを構築することで、「困っているのは自分たちだけではない」という参加者の気づきと業界内での接点創出を通じて、経理業界全体の変革を促進したいと考えた。

 両社とも、目的やイベントの世界観が確固たるものとしてあり、コンテンツ企画や登壇者アサインもそれに沿った形で進められた。富家氏は、「イベント登壇メリットの提示は、ハードルの一つ。講演料ではない、その人に出演していただく理由が問われる」としつつ「主催側のビジョンの有無や温度感の高さは、参加の決め手として大きい」と、登壇者側の目線で語った。

株式会社AiKAGI 代表取締役 CEO 富家翔平氏
株式会社AiKAGI 代表取締役 CEO 富家 翔平氏

イベント実施の工夫と、課題の乗り越え方

 では、実際にイベントを開催するにあたって、実践企業はどのような点を意識し、工夫しているのか。

 まず、月岡氏から挙げられたのはイベント全体を通じての熱量とやりきる気持ち、徹底的な準備、そしてリカバリープランの用意だ。集客ではSNS発信など低コストの施策から開始し、最終的には高コスト施策まで段階的に設定しておいて、収支がギリギリ成り立つレベルまでを想定した。結果的に初期段階の施策で集客が完了したため、リカバリープランは不要となったが、事前に準備することで安心感を得られたという。

 そして、普段からのSNS活動が重要であると月岡氏。ターゲットクラスターが集まるプラットフォームで深いつながりを構築することの重要性を実感したと強調した。

 元木氏も、実施の工夫を紹介。イベントの世界観と照らし合わせたセッション全体の構成を重視し、バックオフィスAIサミットでは4部のセッションおよび懇親会から成る流れを設定。各セッション後の参加者の理想的な状態を、それぞれ明確に定めたのだ。

 具体的には1つ目のセッションでは、法令対応やインボイス対応により急増するバックオフィス業務と、人材採用の困難さや労働力減少を踏まえ、一人当たり生産性向上の必要性を提示。続く2つ目のセッションでは、AI導入における組織論や体制構築の重要性を解説し、技術導入と組織変革をセットで考える必要性を伝えた。そして3つ目のセッションでAIによる業務自動化の具体的ポテンシャルを示し、最後のセッションで先駆者の成功事例を紹介するストーリー構成とした。

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 この論理的なストーリー設計により、参加者の態度変容を促し、必然性を持ってプロダクト体験(デモブース)へと誘導する導線を構築。ベンダーによるポジショントークを避けつつ、必然性から導入効果まで段階的に理解を深める構成が功を奏した。

 元木氏の説明を聞いた富家氏は「各セッション後に参加者がどのような状態になってほしいかを明確に言語化することで、セッション内容の方向性がぶれることなく、一貫性のあるイベント設計が実現できる」と述べた。

社内への働きかけ、実施後の体験設計……実践者はどうしているか

 セッション終盤では、イベント開催や運営に関する疑問が参加者からリアルタイムで寄せられた。様々な質問の中で実際に登壇者が回答したものから、抜粋して紹介する。

 まず、「イベント開催を検討する際、社内を巻き込むためにできることは何か」という問い。月岡氏と元木氏はともに、いきなり大規模イベントで高額な予算を使用することは社内での承認ハードルが高いため、小規模でクローズドなイベントから始めることを推奨した。小規模イベントで参加者の肯定的な反応や成果を実証し、その実績を積み上げる「フェーズ分けした投資判断」が、大規模予算獲得への最短ルートと考えられるだろう。

 次に「フォローのための架電など、イベント後の体験設計で意識していることはあるか」という質問に、元木氏が回答。LayerXでは参加者への一律架電は行っておらず、代わりに当日の懇親会での会話内容に基づいた優先度付けを行っているという。商材により近いネクストセミナーへの参加者候補を特定し、関心度の高い参加者に対して優先的にアプローチをしている。

イベントを通して得た事業成長の手応え

 菅原氏は、「両社ともに世界観を非常に重視されており、2025年のイベント開催実績を踏まえて、次年度に向け色々昇華をされているところかと思います」と述べ、最後のトピックスである今後の展望と参加者へのメッセージに話題を移した。

シンフォニティ株式会社 代表取締役 菅原雅史氏
シンフォニティ株式会社 代表取締役 菅原 雅史氏

 実際にイベント開催を経て見えた、事業成長の手応えはどのようなものだったのか。セッションの締めくくりとして、登壇者からこれからイベント開催を考えている人たちへのメッセージとともに成果が語られた。

 「直接的な事業成長への影響は未知数ですが、業界内での確固たるポジションの礎を築くことができたと思います。2026年7月にも開催が決定していますので、今後はこの成果をどう落とし込み、拡大していくかが課題です。イベント開催で大切なのは、熱量を強く持つこと。これがなければイベントは進められないと思います」(月岡氏)

 「定性・定量の両面で参加者満足度が非常に高く、2026年6月の大型オフラインカンファレンス開催が既に決定しています。同様のイベントの継続開催に加え、よりコミュニティに寄り添ったクローズドなイベントの需要も確認できたため、ユーザーの視点に寄り添いながら事業拡大を進めていきたいです。イベントの成果はコンテンツに大きく左右されます。そのため、コンテンツの質にとことんこだわることが成功のカギです」(元木氏)

 「イベント主催者に大切なのは、自身が参加者として体験した違和感を忘れないことです。参加者として感じた『残念だった』『違和感があった』体験を誰もが持っているにもかかわらず、主催者側になるとつい忘れてしまいがちです。自分たちが提供するものに客観的な視点を持ち、改善ポイントを探り続ける姿勢で企画運営に臨むことが、成功に欠かせない要素なのではないでしょうか」(富家氏)

【アーカイブ配信】成功カンファレンスの裏側:イベントを事業成長の武器に変える「世界観」の設計

数千人規模のイベントを成功させたFaber Company月岡氏とLayerX元木氏をお招きした、本記事のアーカイブを配信します。
「なぜ数千万の投資を決めたのか」「どう熱狂を作ったのか」など、他では聞けない生々しい判断の背景を徹底的に深掘りする1時間。第一線の実践者の視座に触れ、明日からの施策を劇的に変えるヒントをぜひお持ち帰りください。

開催日程:2026年3月12日(木)・17日(火)12:00~
形式:オンライン
参加申込は「B2B EVENT GROWTH BASE」イベントページから

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:シンフォニティ株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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2026/02/26 10:00 https://markezine.jp/article/detail/50229