2026年1月新設、電通「リテールマーケティング局」の設立背景
MarkeZine:さて、電通は2026年1月 に「リテールマーケティング局」を新設し、リテール領域へ本腰を入れて注力する姿勢を示されました。改めて、電通がリテールメディア領域の重要性をどう捉え、どのような方針で活動されていくのかお聞かせください。
濱口(電通):テレビCMをはじめとした従来のブランドコミュニケーションだけではモノが売れにくくなっている時代、リテールメディアを含めたリテールマーケティングはもはや「必要不可欠」です。今後、リテール領域をカバーできなければ、“売る”ことにフォーカスしたパートナーポジションを獲得することは困難になっていくでしょう。電通グループとしてこの領域により一層注力していくために、専門組織「リテールマーケティング局」を設立するに至りました。
MarkeZine:リテールマーケティング局は、具体的にどのような役割を担うのでしょうか?
濱口(電通):主に2つの役割を担います。1つ目は、メーカーへの支援。リテールメディアを有効活用して売上を中長期的に伸ばしていくためのプランニングから、PDCAの伴走までをサポートし、ブランド・商品の継続的な成長に寄与します。
2つ目は、リテーラーへの支援です。もともと小売は「メディア」ではなかったからこそ、顧客体験の設計、メディア化、業務オペレーションや運用フローに悩まれ、自社だけではやりきれないと感じられている企業も増えてきていると思います。そのようなリテーラーのメディア開発/運用を併走支援しながら、よりよい顧客体験を提供していきます。
メーカー側、リテーラー側のどちらの支援もすることで、お互いのニーズが見え、相乗効果を生むことができるでしょう。また、直接言いにくいことがあっても、広告会社が緩衝材になることで円滑なコミュニケーションがとれるかもしれません。多くのメーカーとリテーラーはすでに取引をしているものですが、我々が介入するからこその付加価値を生み出していきたいと考えています。
MarkeZine:支援領域が広く、多岐にわたる専門性が求められそうですね。
濱口(電通):ええ。リテールマーケティング局の業務は企画プランニングやデータ分析、システム開発、そしてセールスなど、極めて多様なスキルセットが必要になります。そのため、社内はもちろんグループ企業からも専門性の高い人材を招集しました。多様なスキルを持つメンバーがワンチームとなり、リテーラーとメーカー双方のお役に立てる組織になっています。
【リテールマーケティング局に関する詳細はこちらのリリースをご覧ください】
変化の嵐を楽しみながら、「買う瞬間に届くメディア」としての価値を高めたい
MarkeZine:リテールメディア領域のさらなる活性化に向けて、最後に今後の展望をお聞かせください。
辻森(電通デジタル):電通デジタルは、リテールメディア領域において、購買データを起点にしたデジタルプランニングから、販促施策の組み立て、売り場の企画設計までを一貫して支援できる体制を整えています。そんな中、今回のPoCでは、冒頭で野田さんがおっしゃっていた「売り場の重要性」を改めて実感しました。小売という専門領域に当社のデジタル領域の知見を掛け合わせることで、新たな価値を共創する取り組みを継続していければと思います。
関(SalesPlus):リテールメディアは、店内で扱っている商品の売上を直接押し上げる「販促メディア」としての側面と、多くのお客様に広く情報を届ける「リーチメディア」としての側面の両方を兼ね備えた、極めて稀有な存在だと考えています。
販促メディアとしては、各小売企業に踏み込んだ売り場との連動をどこまで深くできるかがカギとなってくるでしょう。一方で、リーチメディアとしては「面」の拡大が重要です。メディア横断の取り組みや「九州リテールメディア連合会」のような小売同士の連携も始まってきていますが、まだまだ不十分だと感じています。
リテールメディアは深さでも、面の広さでも、まだ拡張の余地が十分に残されている非常にやりがいのある領域です。現在はまさに変化の嵐の中にいるような感覚ですが、楽しみながら全力で走り続けていきたいと思います。
野田(トライアル):「買う瞬間に届くメディア」としての価値を高めていきたいですね。これから生活様式が変化し、オフラインで買う人が減るような未来が来たとしても、その時々のお客様のスタイルに合わせて姿を変え、購買の瞬間に寄り添い続けることが重要だと考えています。
「九州リテールメディア連合会」のような取り組みも、地域ごとの細かなニーズや生活様式に合わせて、「買う瞬間」に価値を届けるための挑戦です。九州だけでなく、将来的には北海道、東北など、それぞれの地域で最適な訴求を実行していきたいです。
メーカーと小売が手を取り合い、その間に広告会社が介在することで、業界全体の「ムダ・ムラ・ムリ」がなくなり、“売る”ための施策に集中していけるはず。今後もリテール領域におけるマーケティングの在り方そのものを変えていくために、チーム一丸となって挑んでいきます。

