会話型マーケティングをどう導入するか?
これらの事例を横断すると、どの業界でも共通して必要となる導入ステップが見えてくる。
STEP 1:ブランドは“何の相談相手”になるかを決める
会話型マーケティングの最初の設計は「ブランドとして、どんな相談を引き受けるのか」を定義するところから始まる。食品なら「健康」「使い切り」「調理の手間」、ファッションなら「TPO」「色」「雰囲気」といった形だ。これは単なる機能定義ではなく、ブランドの役割を言語化する行為そのものである。
STEP 2:会話の人格・トーンを設計する
AIがどう話すかは、ブランド体験の中核を担う。ユーザーはチャットの語り口を通じて、ブランドの人格(パーソナリティ)を感じ取るためだ。食品ブランドなら“やさしい専門性”、ファッションなら“世界観の強さ”、総合小売なら“頼れる案内人”といった具合に、ブランドらしい口調・語彙・距離感の設計が欠かせない。ここが曖昧だと、AIが誰の代わりに話しているのかが伝わらなくなり、体験価値が大きく損なわれる。
STEP 3:正確性が求められる領域は“固定化”して守る
レシピの安全性、商品の仕様、サイズ、価格、利用規約など、間違えられない領域は多い。生成AIの自由度と、正確な情報を守る「ガードレール」を併存させることが不可欠だ。これは RAG(検索拡張生成)の設計や、固定回答ルールの整備によって実現できる。
STEP 4:会話ログをCRMに統合し、LTVに結びつける
会話データには、購買履歴にはない“未来の意図”が含まれる。好み、制約、生活リズム、課題意識、利用シーン──こうした情報をCRMに統合すれば、レコメンド精度は飛躍的に高まり、継続利用や再来訪に直結する。会話型マーケティングは、短期CVを生む施策ではなく、顧客理解のインフラと捉えるべきだ。
