引き合い中心からの脱却と数兆円市場への挑戦
本記事では、MarkeZine編集部が主催するマーケティングアワード「BEST OF MARKETING AWARD 2026」において、BtoB部門にノミネートされた株式会社Relicの事例を紹介する。
「新規事業の共創」という属人的になりやすい領域で、創業以来「需要過多」の状態を維持してきたRelic。同社は、新規事業開発に特化したSaaS型プラットフォームを提供する「インキュベーションテック事業」、新規事業やイノベーション創出を支援する「事業プロデュース/新規事業開発支援事業」、スタートアップへの投資や大企業との共同事業/JVなどを通じてイノベーションを共創する「オープンイノベーション事業」を展開し、5,000社を超える多様なパートナー企業とともに、新規事業開発・イノベーション創出の実績を持つ。
しかし、その成長の原動力は高い顧客満足度に裏打ちされた「引き合い」や「紹介」などの「深耕営業」が中心となっており、マーケティングによる能動的な市場開拓には課題を抱えていた。
「従来の弊社のメイン市場では国内トップシェアだが、数兆円規模の大手総合ファームや大手SIerがひしめく市場で戦うには、深耕営業では限界がある」。マーケティング責任者の武内氏は、当時の危機感をそう振り返る。
認知度調査では、既存顧客の推奨意向は高いものの、市場全体における純粋想起はかなり低い状態だったそうだ。高い提供価値を持ちながら、実力が認知されていない状態。さらに内部では、事業の多角化により顧客データや財務指標が事業部ごとにサイロ化し、クロスセルの機会を構造的に損失していた。
この「認知の壁」と「データの分断」を打破すべく、同社は経営直轄による全社的なマーケティング改革へと舵を切った。
