組織・仕組み・戦術を貫く「三位一体」の改革
Relicが断行したのは、奇策に頼らない「BtoBマーケティングの王道」の徹底である。その柱は「戦略(組織)」「仕組み」「戦術」の3点に集約される。

第一に「組織」の変革だ。現場レベルでの調整が困難な事業部間の壁を取り払うため、CMOを設置して経営直轄の横断組織を新設。経営レベルでのコミットメントにより、全社的な「オーケストレーション(統合的な連携)」を強制力をもって実現する体制を整えた。
第二に「仕組み」としてのデータ基盤構築である。単なるツールの導入に留まらず、KPIの定義や「SQL(Sales Qualified Lead)」の基準について、各事業部と徹底的な合意形成をし、財務会計とCRMを高度に連携させることで、誤差±3%という極めて精度の高い業績予測モデルを構築した。勘や経験に頼らない、データドリブンな意思決定と資本投下が可能となったのである。
第三に、これらを動かす「戦術」の磨き込みだ。特にユニークなのが、生成AIを活用して社員の知見を資産化する「Relic Publishing」という取り組みである。属人化しがちな新規事業のナレッジを、書籍やコンテンツとして体系化。さらに、ハウスリストの徹底的なセグメンテーションによるABM(アカウント・ベースド・マーケティング)施策や、SEO・ウェビナーによるインバウンド施策を圧倒的な行動量で実行した。
1年でグループ売上100億円を突破した「王道」の力
この改革の成果は、組織発足わずか1年という短期間で数字となって現れた。戦略的なマーケティング施策の結果、ウェビナーの集客数は3倍以上、問い合わせ数は15倍へと急増。データ基盤に基づくリードナーチャリングの最適化により、MQL(Marketing Qualified Lead)からSQLへの転換率は7倍に向上したという。
特筆すべきは、これら一連の活動が単なる「リード獲得」に留まらず、直接的な「売上」に直結している点だ。マーケティング組織が起点となり、スタート初年でRelic単体では創業10年目にしてなお売上130%以上の成長を実現し、グループ売上100億円を突破した。さらに、事業部を跨いだクロスセルの活性化により、売上のベースラインは月平均135%の成長を記録している。

「ウルトラC(魔法のような解決策)はない。当たり前のことを最高水準でやり切ることが、再現性のある成長を生む」
Relicの事例は、BtoBマーケティングにおける「王道」の徹底が、いかに強力な経営基盤となるかを証明していると言えるだろう。同社は今後、この成長エンジンを武器に、2030年までに海外売上比率51%を目指すグローバルカンパニーへの変革を見据えている。
