マーケティングDXの実装に特化したHMSの使命
──博報堂マーケティングシステムズ(以下、HMS)は、博報堂グループのなかで珍しく「システム」という名称が入っていますが、どのような会社なのでしょうか。
高橋:HMSは、博報堂グループのマーケティングテクノロジー領域を専門に担う会社です。2017年に立ち上がりましたが、設立の背景には、マーケティングのデジタル化やデータ活用が進むなかで、戦略の構想だけでなく、実際にシステムを実装し、運用まで支える機能がグループとして不可欠になったという理由があります。
高橋:その最大の意義は、「構想だけで終わりにしない」という点にあります。博報堂の強みは生活者理解に基づいたマーケティング戦略を描くことですが、どんなに優れた戦略でもシステムとして実装されなければ生活者には届きません。コンサルティングファームは戦略が構想にとどまりがちで、SIerはシステム開発に特化しがち。私たちはその間にある「戦略と実装のギャップ」を埋めるために存在しています。
当社のクライアントは、流通・小売、金融、通信、消費財メーカーなど、生活者と密接に関わる業種が中心です。「生活者のインサイトをどうシステムに落とし込むか」という課題を持つ企業から多くお声がけいただいており、博報堂グループならではの生活者理解と、テクノロジーの実装力を掛け合わせられることが、私たちの最大の強みだと考えています。
──事業内容を教えてください。
高橋:具体的なサービスは大きく3つです。1つ目はマーケティング戦略をシステム要件に落とし込む「コンサルティング」、2つ目はMAやCDP・CRMの選定から構築までをトータルでサポートする「導入支援」、そして3つ目が現場にツールを定着させ、活用レベルを高度化させるまでを支える「運用支援」です。
なぜMA・CDP導入は失敗するのか? 理想の顧客体験を形にする力
──せっかくMAやCDPを導入しても、現場が使いこなせず成果につながらないという企業の悩みもよく耳にします。この状況をどのように見ていますか。
高橋:それは、「手段」であるはずのツール導入が、本来の目的よりも上になってしまっているからでしょう。一般的に、MAやCDPの導入はマーケ部門とIT部門の両方が関わるものです。しかし、両部門間での認識をちゃんとすり合わせないまま、IT主導でスケジュールが引かれると、マーケの現場では戦略を立てられないまま機能要件だけを出してしまい、「成果に結びつかない」事態が生じがちです。
大切なのはツールの機能ではなく、「誰にどんな体験を届けるのか」という根幹のコミュニケーション設計です。ここを疎かにすると、生活者のインサイトに紐付かないデータが溜まるだけで終わります。施策を実行し、評価・改善を繰り返せる仕組みまでをデザインする力こそ、今多くの企業が求めているものであり、私たちの存在意義だと考えています。

