4社の実例から探る、ファン育成のヒント
「ブランド・リレーションシップ」サービスを活用し、さらに実効性の高いマーケティング戦略を実現するため、インテージでは2024年11月~2025年7月にかけて、産学連携のファン育成プロジェクトを実施しました。青山学院大学・久保田教授をアドバイザーに迎え、ハウスメーカー、銀行、バイク、眼鏡店の4社が参加しました。定量調査と定性調査を駆使し、製品カテゴリーを横断的に見た知見と、個々の製品カテゴリーや市場ポジションに特徴的な知見を獲得しました。
今回の調査は個別ブランドでなく、企業ブランドを対象に行い、調査対象者は4社の利用者としました。そして各カテゴリーにつき上記企業と同業他社2社のスコアや意識・実態を聴取しました。
図表3に示したように、絆層~拒否層の4層のバランスは、製品カテゴリーにより異なるのがわかります。たとえば、バイクのように趣味性・自己表現性が高く、ブランドの特徴が顕著なカテゴリーでは、ブランドとの強い結びつきを持つ絆層が多く見られました。一方、銀行のように利便性や安心感を求め、ブランドの特徴が弱いカテゴリーでは、絆層よりも好意層や中立層が多く見られました。
またバイクを見ると、C社のように、ファンがとても多いブランドも存在します。A社やB社と比べて、ファンによって支えられている傾向が強いのがわかります。
このように、製品カテゴリーと各ブランドの特徴を理解することで、自分たちは「絆層」を増やすべきか、それともまずは「好意層」を増やしていくべきかを見極めることが可能となります。
差別化しにくい商材で、いかに愛着を生むか?
分析結果の理解を深めるには、製品カテゴリー全体の特徴と、自社ブランドの特徴のそれぞれを把握することが重要です。たとえば銀行では、以下のような知見が見られました。
銀行カテゴリーにおいて愛着を生み出す要因:
・預貯金にとどまらず、資産運用やポイント還元などのニーズを満たしていること
・店舗やATMが多い、アプリの使い勝手が良い、などストレスなく利用できること
・企業規模が大きい、歴史があるなど、信頼感を抱くこと
・長年利用したり、地域的な接触があることプロジェクト参加の銀行における愛着を生み出す要因:
・大手ならではの安心感や信頼性が感じられること
・ATMやアプリがとても使いやすいこと
・窓口担当者の対応が良く、絆を感じやすいこと
・金融商品がユニークで、サービスも充実していること
前述の通り、銀行はブランドの特徴が出しにくいため、一般的に絆層は育成されにくい傾向にあります。しかし、その中でも個性的な金融商品を打ち出すことで、消費者の心理を捉えていることがわかります。この事例は、ファン・マーケティングが盛んでない業界こそ、ファン・マーケティングによって顧客基盤を強化できることを示しています。
また、この事例からは、金融商品の利便性によって好きになるきっかけを作ったあとで、気の利いたサービスや、窓口での親身な対応によって熱量をあげ、ファンへと育成していくルートを考えることができます(図表4)。
