スマホすらなかった20年前、当時の広告市場を振り返る
MarkeZine:はじめに、20年前の広告市場を振り返ってみたいと思います。2006年、インターネット広告の存在感が徐々に大きくなってきた頃の、業界の空気感はどのような感じでしたか?
森永:実はちょうどその頃、2007年に「日本の広告費」は大きな改定を行いました。その改定では、インターネット広告の制作費を新たに統計に加え、雑誌広告の推定範囲も拡張しています。2006年というと、ちょうど広告費構成比で雑誌とインターネットが同程度になった年です。インターネット広告市場があれよあれよという間に大きくなってきたので、制作費も含めて捉えようということになったわけです。
グラフに見られる2007年の段差は、この統計手法のアップデートによるものです(2ページ目【図1】参照)。まさに1つの転換点が約20年前にあったと言えると思います。
とはいえ、業界の空気感で言うと、インターネットはまだ補完的なメディアという立ち位置でした。新聞も雑誌も、紙媒体の持つステータス感はまだ力強かったですし、「キャンペーンをやるなら、まずテレビ」という具合に、マスメディア一強の空気感も色濃く残っていました。また、そもそもデジタルの予算を確保している企業は少なく、テレビを前提としたキャンペーン予算の余白にデジタルが追加されるくらいの規模感でした。
ただ、その頃から少しずつ起き始めていた重要な変化として、クライアントが「広告効果の可視化」を求めるようになったということがあります。キャンペーンの結果、どのくらい売れたのか、人が集まったのか、認知はどのくらい取れたのかといった具合です。以降、インターネット広告の存在感が一気に高まっていった背景には、こうした変化もあったのだと思います。
