こりゃいけそうだ!と思った瞬間あります?
西氏の運営する「@cosme」は、化粧品のユーザーによる口コミサイトだ。1999年12月の開設と歴史は古く、会員数は約100万人、口コミ件数570万件。そのボリュームから来る効果か、化粧品メーカー広告へのURL掲載などはあるが、「特にSEOなどは行っていないが、人は来る」という。その西氏が「いける!」と思ったのは、マーケットデータの蓄積がある規模を超えたころだったようだ。
「サイト内のデータがたまってくると、いろいろなことが見えてきます。たとえば新しいカテゴリとしてヒットする直前の商品の“波”みたいなものですね。旬のコンシューマ情報は、メーカーにとっては欲しい情報です。そうなると、メーカーとも話ができるようになり、サイトの影響力や主導権のようなものも生まれてきます」
一方の杉本氏は、「自分たちが新しいネット上の行為を生み出した」と感じたときだと語る。
「『ニコニコ動画』には、通称“弾幕”というのがあるんです。たとえば動画の中の歌のサビで、見ているユーザーたちが一斉にコメント字幕を流すんですね。それまでにはなかったネット上での新しい“行為”を見て、これはいけると思いました」
こりゃひどい!と思ったサービスありますか?
西氏は、「あるメーカーのSNSだったんですが、おそらく企画を上げた人が『とりあえずmixi(と同じ)でいい』と言ったと思われるサイトがあったんです。もちろんmixi自体はたいへん優れたSNSですが、それをそっくりまねたという点で、何もサイトの目的が感じられないのです。そういうふうに中身を練り上げてないから、メーカーとして何らかの最終的な落とし込み=獲得目標も一切ない。『とりあえずSNS作ろう』というところで終わってしまって、『何のための、誰のための』という視点がないものは、ユーザーを引きつけることはできません」と語る。

当たり前のことだが、実にそのとおりだろう。入れ物だけを作って内容もポリシーもないのでは、とても“行列のできるCGMサービス”はムリだ。
片桐氏の見た例は「ひどい」とはやや異なるが、CGMサービスの作り手にとっては見落としがちな教訓を含んでいた。
「ビジネス系SNSで、登録時に年収とかまで入力させるんですよ。これ、うっかり入るといきなり電話かかってきちゃうんじゃないかと(笑)。個人情報を取りすぎるのは、ユーザーとしては引きますね」
