儲からないのですが…
杉本氏は、「CGMならば、バナー以外にも広告の切り口はいっぱいあるはず」としながら、一方ではオカネという発想をいったん離れてみるのも大事だと指摘する。
「かつて『2ちゃんねる』から『電車男』というコンテンツが生まれたように、サイト内で具体的なキャッシュが動くのとは異なったかたちでのリターンというのも、あるのではないかと。最初からカネもうけようではなく、ユーザーがハッピーになる構図というのが、やはりCGMサービスには欠かせないと思います」
西氏の「@cosme」は、「メーカーとユーザーの間の中立的な立場」を保つことによって、独自の収益構造を築いているという。
「『@cosme pro』というASPサービスを、メーカー向けに提供しています。これは『@cosme』に蓄積された口コミ情報を分析した、レポートなどを提供するデータベースリサーチサービスです。また『@cosme』内では人気ランキングを取っていますが、ここで1位になった商品には、当サイトのランキング入賞ステッカーの利用権を有償で許可しています」。
自サイトを「口コミ(化粧品レビュー)情報をユーザーが取りに来るデータベースサイト」と位置づけている「@cosme」ならではの、ユニークかつ堅実なビジネスモデルといえるだろう。
これからやってみたいサービスありますか?
ここは現在のビジネスを離れて、自由に夢を語る時間となった。まずは杉本氏。
「水を売る、といったモデルのものを探したいなぁと思っています。何のことかと思われるでしょうが(笑)、ミネラルウォーターの『ボルヴィック』が展開している『1リットル for 10』というキャンペーンがあるんです。
『ボルヴィック』が売上の一部をユニセフに寄付して、アフリカに井戸を作るという運動で、ユーザーが『ボルヴィック』を1リットル買うと、アフリカの井戸から10リットルの水が得られるというものです。社会的に良いことをするのはもちろん、ブランディングの面でも、こういう活動ができるといいですね」
かたや西氏は、「ネット広告の流れというのは、クッキーを使ってユーザーのマッチングを行う、いわゆるターゲティングの方向で進化してきました。これを逆転の発想で、ユーザーが欲しいものを欲しいときに能動的に得られる仕組みを探りたいですね。そうなれば、ムダな広告を打たなくてすみます。『レコメンド』は次のキーワードになるのではないかと考えています」
最後に片桐氏が、「犬のブリーダーのホームページを『pixiv』形式で一覧できるサービスができないかなと思ってます。いや、実は自分が犬を買いたいんですが、一つずつブリーダーのサイトを見るのが面倒で(笑)」と会場を笑わせたところで、残念ながら制限時間いっぱいとなった。
まだまだ聞きたいことを残しながらの閉幕となったが、存在感を放つCGMサービスの運営元だけに、参加者を十分納得させるアイデアと発言で楽しませてくれるディスカッションとなった。
