バーチャルとリアルの間にある生々しい世界を覗いてみよう
小山 実は、iPhoneのすごさは、便利さや機能とかだけじゃないんですよ。そもそもインターネットの価値は、いながらにして世界の隅々の情報を得られることですよね。でも、あくまでそれはバーチャルでしかない。一方、iPhoneはインターネットの世界を片手に持って、リアルな現場にも行くことができるんです。そう、バーチャルとリアルの間にもう1つある世界。そこに触れられるような生々しさが感じられる。写真を捨てるとゴミ箱に吸い込まれていく、そんなインターフェースのリアル感も相まってるのかもしれませんね。
木本 バーチャルとリアルの真ん中の生々しい世界、ですか。まだちょっと想像が難しいですねえ。

小山 たとえば、この「Twinkle※」は、ある現場でつぶやくと、周りのつぶやきが見えてくるんですよ。「つぶやき」を共有する「Twitter」専用のアプリケーションなんですが、いま自分がいる場所の近くで、リアルには聞こないはずの他の人たちのつぶやきが聞こえてくる…不思議な感じでしょ。パソコン版もありますが、現場感が加わることで生まれる「見知らぬ人と場を共有しているという感覚」は、iPhoneならではのものでしょうね。
木本 あ、前のものも見られるんですね。すごいな、残留思念って感じ? ちょっと前にここに来た人が何を考えていたかわかるわけですね。おもしろいなあ。
小山 生々しいでしょう。そういう感覚が人間には大切なんだと思いますよ。とくに僕らのようなクリエイターにはね。
木本 むむ、なんだかわかってきたような気がします。iPhoneって、携帯電話+iPod touchだと思っていたんですが、まったく違うんですね。同じアプリケーションであっても、持ち歩いた先でインターネットにつなげることができれば、新しい世界での感覚を得られるというわけか。すごいですね。
小山 じゃ、実際にその感覚がどんなふうに得られるのか、TKOの仕事にどんなふうに活かされるのか、おもしろいアプリケーションを紹介するので、一緒に考えていきましょう。
木本 なんか、人生が変わりそうやなぁ~。ぜひ、よろしくお願いします!!

つぶやき共有サービス「Twitter」向けアプリケーションの1つ。140文字以内の「つぶやき」を、「フォロー」と呼ばれる友人と共有する。ふと感じたこと、今の自分の状況など、簡単な心のつぶやきが脈絡なく掲載される。なんとなくもれたひとことに誰かが反応してくれる、そんなゆるーいコミュニケーションが可能だ。
そこに「同じ場にいる」ということで「つぶやき」を共有するのがTwinkleの中の「Nearby」である。1km~1000km、およびEverywhere(どこでも)から投稿範囲を選択し、位置情報を添付して「つぶやき」を送信する。どこの誰かか知らないけれど、近くにいる人(またはいた人)のつぶやきを、つぶやいた現場近くで受け取る。その不思議な感覚にやみつきになる人多し。
◆Mac芸人木本の発想「TKOならこう使う!?」
「ぜひ、ライブで使ってみたいですね。もちろん肉声が一番うれしいけれど、お客さんがライブを見た感想やふと考えたこととかを見てみたい。それを見て、他のお客さんが集まって来てくれるといいな。ライブ以外でも、単純に人が考えていること、ぽろりと口にすることって、なんやすごくおもしろかったりするから、そこから膨らませてネタにも活かしてみたいですね」(TKO木本談)