飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長中
ライセンス型ソフトウェアから、インターネット経由でソフトウェアの機能を提供するSaaS(Software as a Service)へという業務用ソフトのパラダイムシフトの流れを牽引する注目企業「セールスフォース・ドットコム」。
SaaS型CRMアプリケーション事業で業界トップを走る同社のサービスは、世界の大手企業からベンチャー企業、非営利法人、中小企業までと、幅広い顧客層に採用されており、その勢いはさらに加速している。現在のCRMを取り巻く環境を、株式会社セールスフォース・ドットコム執行役員・コーポレートセールス本部長の福田康隆氏にうかがった。
厳しい時代だからこそ期待されるCRM
1999年の創業以来、同社はSaaS型CRMアプリケーションでCRM業界をリードしている。
同社の「Salesforce CRM」は、営業支援、マーケティング、カスタマーサポート、代理店管理など顧客との関係強化に必要とされる機能を包括したビジネスアプリケーション。同社のCRMビジネス取り巻く環境から、CRMへの注目度を探っていこう。
「昨年秋ぐらいから景気低迷の影響を受け、投資に対する費用対効果がこれまで以上に重要視されています。こういう時代だからこそ、新しい戦略を打ちたいというお客様も増えていますね。特に、中堅・中小企業の経営者層がより積極的に投資を考えているという印象です」と、福田氏(写真右)。
「マーケティングやセールスの分野では、今後の売り上げをのばす再編や新規開拓に対する投資が活発です。また、お客様のサポート分野においては、既存のお客様のロイヤリティを高めリテンションを図る投資が活発になっています」(福田氏)。
この福田氏の言葉から、幅広い観点でCRMに対する注目が高まり、景気が低迷する中でもCRM関連市場がホットなことが伺える。
サイト分析からマーケティング、効果測定までを一気通貫に行う
では、マーケティング分野ではCRMシステムが今現在どのように活用されているのだろうか。
「マーケティング分野で言えば、Webマーケティングと連動した仕掛けを積極的に活用しようとしているお客様が増えていますね」と、福田氏。
少し前まではキーワードベースでどこに投資し、リードを獲得していくかというサーチ・マーケティングにとどまっていたケースが多かった。しかし、最近はサイト分析やサーチ・マーケティングといった切り口だけではなく、キャンペーンの効果測定やそこからどれだけ売り上げにつながったかなど、一気通貫に行えるシステムが求められる事例が増えているという。
CRMシステムを単なるデータ分析やターゲット抽出のためだけのシステムとしてではなく、包括的にCRMを実践するためのシステムとして利用する企業が増えているようだ。
このようなCRMツールの利用は、米国が一歩進んでいる。「例えば、米国ではオムニチュアのサイト分析ツールと組み合わせ、Webサイト上での顧客の行動を分析して次のコールアップの優先順位を変える、というアプローチをする企業も増えています。おそらく、日本でもこういった企業は増えていくのではないでしょうか」と、福田氏。
ツールを活用したCRMの強化の波は、確実に日本にも近づいていると言って良いだろう。