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MarkeZine Day 2025 Retail

現場PMから学ぶ“失敗しない”プロダクトマーケティング術

第2回 コンセプトワークから4Pへ“落とし込む”までの流れ


顧客分析から検討する理由

 プロダクトマネージャーのバックグラウンドによっては得手不得手があるので、市場分析、市場機会、コンセプト、4Pの配分までに嗜好性(偏り)が出る場合が多いです。同じ製品を別のプロダクトマネージャーが担当した際に、コンセプトが変更される場合はこれが原因のケースが多いです。

 プロダクトマネージャーの中には他社分析から入っていく人もいますが、私の場合はまず顧客分析のところから入っていきます。そして顧客ニーズを把握した段階で、既存顧客のニーズを満たしており、競合となりえる製品・サービスを分析します。

 この分析の順番の利点は、競合を「キーワード」で限定しないところにあります。例えば、最初にグループウェアというキーワードで競合分析してしまうと、メッセージングツールや文書管理ソフトだけを出している他社が競合として洗い出せない場合があります。こういった隠れた競合を洗い出すことが可能となるので、私はまず顧客分析から行うことにしているのです。

 市場機会の創出の際にもどのような戦略で市場に切り込んで行くのかが非常に重要なポイントとなります。例えば、ニッチ市場に対して切り込んでいくに低価格戦略をとっても、市場規模自体が小さいために、採算が取れない場合もあります。この市場機会の創出の仕方は、企業理念や経営戦略に起因するところが多いのではないでしょうか。弊社の場合は「簡単・便利・安い」の大衆化精神の経営理念から創出されることが多いです。

4Pへの配分は既に決まっている

 市場分析と市場機会からコンセプトが創出されますが、この時点で主要な4Pは決定している場合が大半です。なぜならばコンセプトの時点で顧客とするのは誰で、どのような価値を提供するのかが端的に表現されているからです。他社分析から競合他社が搭載している機能を落とせない場合もあるだろうし、高価格ブランドの会社より、製品価格を高くできない場合もあります。

 既にここまで述べた内容で気づいた方がいらっしゃると思いますが、市場分析、市場機会・コンセプトの創出の際に4Pの配分は決定していることが大半です。言い換えれば、市場分析、市場機会・コンセプトの創出から4Pというツールに“落とし込み”を行っているだけと言えます。4Pの配分の検証を行うことは、ツール上に配分された結果をミクロでみても解決しません。「顧客・他社・自社」という全体を俯瞰してマクロで見る必要があります。

 しかし、ミクロで検証する場合にも細かい矛盾を発見できる利点があります。それは4Cによる4Pの検証です。次回は、配分した4Pを4Cで検証する際に留意している点を書いていきます。

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この記事の著者

石原 悠(イシハラ ハルカ)

サイボウズ株式会社 プロダクトマネージャー
1977年生まれ、2001年4月にサイボウズ株式会社に入社し、プログラマーを経て新規事業の企画・立ち上げに従事。現在はフィードパスのサイボウズASPの立ち上...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/02/08 09:52 https://markezine.jp/article/detail/690

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