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業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

お客さまの声に直接触れて、悪いことなんて、絶対ないはず
貝印社員に聞く 「カイタッチ・プロジェクト」の裏側

インターネットの向こうに居る人たち

河野
少し話がずれるんですけど、ぼくなんかは10年以上、ネットというものを見てきててるんですが、やっぱり10年あるといろんなことがあってですね。ぼくが1997年にニフティに入った頃は、まだiモードもなかったので、インターネット=パソコンだったのが、今は携帯でもできますよね。

あるいは、インターネットバブルって言われた2000年前後も、当時でも別にインターネットに全員が繋がってるわけではなくて、わりと進んでいる人とかしか繋がってなかったんですよ。それは東京の人が中心だったり、若い人が中心だったりすると思うんですけど。でもここ数年で、年配の方や地方の方も含めてですね、日本中のほとんどの人、7割、8割の人たちがある人はパソコン、ある人はケータイやゲーム機を使って、インターネットに繋がるようになってきています。

ぼくはこんなふうにインターネットが一般化したり、日常化したことによって、いわゆるネットマーケティングで考えなきゃいけないことが増えたと思っていて、これまではネットにいる特殊な人たちを相手にしてれば良かったんですけど、今は世の中にいる普通の人たちがネットに繋がっちゃったので、区別ができなくなってきているわけです。もちろん、だからこそ、すごいダイナミックでおもしろいことができていると思うんです。その辺りで、(ベンチャーだけじゃなく)むしろ古くからある企業こそ、うまくネットに入っていければいいのになっていう思いが、ずっとぼくにはあるんです。

ぼくがお手伝いしてるのは、ほとんどネットとは縁のなかった企業ばかりでして、たとえばブックオフオンラインっていう、ブックオフグループのECをやってる会社があるんですけど、そこの役員をやってるんですね。彼らと話してると、最初は口を揃えて言うんですけど「ネットが怖い」と。もうぜんぜんわかんないと。

自分たちは10年以上も前からずっとネットなんて関係ないところでビジネスをやってきてるわけで、でも時代としてやんなきゃいけないことだけはわかっていて、どう一歩目を踏み出せばいいのかがわからないし、怖いと。そういう時は、ぼくは今お話ししたみたいに、昔はともかく、最近はみなさんと同じような普通の人がネットにいますよってところから、話をしてるんですね。
御社から見てて、インターネットの向こうに居る人たちが、ここ数年でなんかしら変わってきた感覚ってありますか? このカイタッチ・プロジェクトをやっていく過程で気付いたことでもいいんですけど。
郷司
カイタッチ自体はまだ4か月ぐらいしか経ってないので、まっすぐなお答えになってないのかもしれないですが、最初の取り組みとして「Club KAI」というモニタークラブをやりましたっていうのを申し上げたと思うんですけど、あれはやっぱり、おっしゃってるように「ネットが怖かったから」っていうのがすごく大きいんですよね。

どういった内容がくるのかもわかんないんで、数も絞りたいし、たとえば懸賞サイトに出して、一気に集客をはかるみたいなことも考えたんですけど、とりあえずは数じゃなくて質を求めていこうっていうのをやってきたんですね。その結果、ちゃんとやってれば大丈夫なんだということがなんとなくわかってきたんです。

変なことするから変なこと書かれるんであって(笑)、ちゃんとやってればちゃんと返ってくるなという感覚が持てたので、ブログの方にも踏み込めたというのも、あると思うんですね。貝印のウェブとして感じてることの変化というのは、あまり無いんですが、僕自身がウェブにずっと接していて、やっぱりウェブという環境に僕ら自身もみんな、ちょっとずつ慣れてきていて、新しくエントリーしてる人もいるでしょうけど、多くの人はもう慣れてきたじゃないですか、僕ら自身も。
河野
そうですね。
郷司
で、新しくやってきた人もこなれてきてるし、もちろん余計なコメントをして、荒らす人はたしかにいるんでしょうけど、わざわざ企業のサイトに対して、そんなことする人って、よっぽど時間を持て余しているんじゃないかっていう感じもありますし。
河野
まあゼロじゃないですけど、(企業サイトにまで悪いことをしに来る人は)ほとんどいないですね。
郷司
人が慣れてきている分、いろいろ整理できやすくなったっていうのかな、僕らとしても取り組みやすくなったんですね。逆に偏りがなくなって、バーッと拡がったので。これって普通の一般の人間社会と同じじゃないですか
河野
はい、その通りです。
郷司
もともとネットは特別だったんですけど、こういう世界になったんで、今ではほとんど人間社会と一緒の環境。僕らがウェブプロジェクトを進める時に、「Web2.0」という言葉に対して、あれはメディアなの? ツールなの? という話が出てたんですけど、いや、要はただ環境が変わっただけだから、新しい環境に順応しましょうってトライだったんですね。で、僕らもその環境に慣れようとしてきたし、一般のユーザーの方も慣れてきたしっていうので、たしかに環境が変わってきているという捉え方をしています。

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この記事の著者

河野 武(コウノ タケシ)

1974年7月3日生まれ。立命館大学経済学部卒。コミュニケーション・デザイナー。マーケター。企画屋。
1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーターとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役兼COOを務める。ECサイト初となるトラックバックを導入し、また「入荷お知ら...

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MarkeZine(マーケジン)
2009/05/03 11:00 https://markezine.jp/article/detail/7029

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