ミッション:Webを核とした新しい広告コミュニケーションをデザインする
既存のメディアにWebを加え、よりインタラクティブな仕掛けでユーザーに「体験」を提供する。インターネットを核とした総合的なコミュニケーションデザインの可能性は、広告のみならずさまざまな分野で語られて久しい。その新しいコミュニケーションデザインの考え方が、ここ数年でようやく実現段階に入ってきたという。博報堂DYインターソリューションズのクリエイティブプロデュースグループ i-プランニングチーム プロデューサー石原徹也氏は、その変化について次のように語る。
「まさにこれからという感じですね。それまでは、ある広告企画に対してまずマスメディアで何をするか決めたあと、じゃあWebはどうしようか?という流れが一般的でした。予算もそれで決るので、どうしても少なくなる。それが、全体設計にWebも含める形に変わり始めたのは、本当につい最近です。」
博報堂、大広、読売広告社の経営統合によって設立された、博報堂DYメディアパートナーズを直接の親会社とし、グループの中でWebを利用としたコミュニケーションデザインを担う博報堂DYインターソリューションズ。この不況にありながらスタッフの数が増加していることからも、その可能性に大きな期待が集まっていることがうかがえる。その中で、Web部門のプロデューサーとして、他の分野との調整をとりながらプロジェクトを企画・進行させるのが石原氏の役割だ。プロジェクト立ち上げの段階から、営業スタッフやTV、雑誌など他メディアの担当者と折衝を重ね、効果を最大化するためのWeb活用について考えていく。
「営業に同行してヒアリングから参加したり、自分でプレゼンに行く場合もあります。トレンドや技術の進化スピードが速いこともあり、Webに関しては特に、お客様とクリエイティブの間で齟齬が起こりがちです。それを避けるため、自ら出向いて直接情報を得たり、説明したりしています。そして、その上で各メディアと連携し、各部門の責任者と直接連絡を取りあいながら調整しています」
また、Webコンテンツの製作においては、進行や予算の管理とあわせ、スタッフィングも石原氏の重要な仕事となる。
「スタッフはプロジェクトごとに決めています。部署や会社の枠を越えてベストなチームを編成するには、スタッフやプロダクションの力量や得意分野などの情報がとても重要。気になるコンテンツがあったらその担当者に話を聞くなど、普段からこまめな情報収集を心がけています。幸い、博報堂DYメディアパートナーズ内では関連部門の横のつながりが強いという風土があり、その点は強みになっています」
縦横無尽にネットワークを駆使して、さまざまな場面で"ハブ役"として活躍する石原氏。企画全体を見渡す視点と、バランス感覚がなければできない仕事である。
「本当は、Webもマスメディアも全部まとめて、コミュニケーションを構築するのが理想だと思っています。最近は同じように考える人も増えてきて、今までマスメディアの現場で仕事をしていた人がWebの勉強を始めているし、メディアをまたいだ情報交換の機会も増えていますね」
すでに次世代の広告企画のあり方について思いを巡らす石原氏。そんな氏の1日に迫ってみた。(次ページへ続く)