マーケターに厳しい時代、4つのスキルを磨いて生き残れ!
今後マーケティング業界で生き残るためには、4つのスキルが求められると考えています。
1つ目が、「多数派形成力」。「いまはこれが一番だ」といえる、リアルタイムでのナンバーワンを設計する力です。世の中のトレンドを敏感にキャッチして、マスに支持される具体的なサービスやクリエイティブに落とし込む。旧来的なマーケティングの手法ですね。
2つ目は、「未来提示力」。今はモノを買う際に、臆病にならざるをえない時代です。たとえば、新車を買えるほどの予算があったとしても、あえて中古車を選ぶ人が多いという話を聞きました。消費者のマインドが萎縮しているわけです。財布の紐を緩めてもらうには、この「未来提示」のスキルが欠かせません。
さらに「関係構築力」も、欠けてはならないピースです。これは、ユーザーの声に耳を傾け、本音を探っていくということ。すでに、テキストマイニングなどさまざまな技法がありますが、もっと定性的に踏み込んで見て、ステークホルダーとの関係を深めていくことが求められます。
具体例を出すなら、書店などにある手作りのポップ。あれも、関係構築のためのツールの1つです。ホスピタリティの表れですよね。また、CGMで消費者マインドを探ることもできます。
最後は、「インサイト発見力」です。これまでに何度も繰り返してきたように、モノが売れない時代です。お茶のペットボトルの例(第2回)が示すとおり、商品自体が持つ訴求力より、価格で流通しているフシがあります。
こうした状況では、力ずくで売るのではなく周辺から攻めていくことです。たとえば「キットカット」。いまや受験生に大人気ですが、あれは正攻法の売り方ではなく、言葉遊びを巧妙にマーケティングに使った結果、新たなニーズを生み出した好例です。要するにキットカットを売るのではなく、受験にキットカットをフォーカスしているのです。
「関係構築力」や「インサイト発見力」は、若いマーケターが得意とする分野ではないでしょうか。というのも、彼らは高度経済成長やバブルを知らずに育ってきた世代だけに、力ずくでモノを売ることに抵抗があり、モノが売れない状況に慣れています。ですから、最初からドーンと爆発的にヒットするなんて思っていなくて、むしろ地道に繊細にマーケティングを行うのかもしれませんね。
これらのスキルについては、私の新著『「買う気」の法則』(アスキー新書)で掘り下げているので、詳しいことはそちらで読んでみてください。
後者2つに対し、「多数派形成力」「未来提示力」は、オールドタイプのマーケターが得意でしょう。どちらが優れているというわけではなくて、ミックスすることが重要です。すると幅広いマーケティングに携わることができ、仕事がなくて困るといった事態が起こりにくくなります。(次ページへ続く)