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四家正紀のネオコミュニケーション遊談

ブログと出会って会社を辞めました 「らむね流 ネット生活のススメ」(前編)

パワフルな個人であり続けること

四家
ちょっと話飛んじゃいますけど、ロックンロールって音楽がまだ生まれたばかりの頃―1950年代かな、チャック・ベリーやプレスリーなんて人たちがデビューしたレコード会社って、結構規模が小さいんですね。それがメジャーになるにしたがって、どんどん大資本が入ってきて、商売はでかくなったけど最初の頃の良さはなくなったなーという話があったらしくて。
村山
ふむふむ。
四家
で、そういう超初期のロックンロールを愛していたポール・サイモンが、ずっと後の1980年代に、南アフリカの小さなレコード会社が出しているテープを聴いて、こりゃロックンロールの原点に通じる音楽だとびっくりして、向こうのミュージシャンとレコーディングしたアルバムが、グラミー獲った「グレイスランド」という作品だったりします。
サイモン&ガーファンクルの片割れ、ポール・サイモンの
「GRACELAND」(Warner Bros)は、86年と87年の2回、グラミー賞を受賞した。
村山
「表現の原点ってなんだろう?」ってことですよね。
四家
ええ。もちろんこのアルバム自体ワーナーから出たからこそ世界的大ヒットになったわけで、大きな資本じゃないと実現しないことも多いわけですけど、一方で見えなくなるものもあると思うんですよ。強引に話を戻すと95~96年くらいのネットの活気というか異様なバーティカル空間が、2000年代に入って、だんだん企業の理屈にあわせて拡大していったときに、個人的には「なんかつまんねーな」と思っていたことを思い出したんです。
村山
たぶん、それは大きな視野で何が起きているかを見ていた四家さんだからこその感想でしょうね。私は視野狭窄なので、自分の楽しいことしか見えていませんでしたね。「きゃー、インターネット楽しい!メールもらうの楽しい!メルマガ、楽~!」で、ルンルンでした。
四家
いやそうでもないですよ。その頃はらむねさんだって、買った商品持ってにっこりする取材を山ほど受けて、辟易されたわけじゃないですか。ただ、らむねさんは消費生活アドバイザーの資格を取ったり、パワフルな個人であり続けることができた。だんだん思い出してきたけど、個人で面白いコンテンツやっていたのにやめちゃった人、多いんだもん。ブログをきっかけにして戻ってきてほしい。
村山
よく考えるんですけど、何がモチベーションかって考えたときに、私なんかは、ほんとここだけの話ですが、自分の書いた文章を読むのが大好きなんですね。
四家
ここだけって 公開の場でそんなこと言われても(笑)。
村山
道楽としてのアフィリエイト。でも、それはすごく大切な指摘ですね。
四家
ちょっと話を戻しますが、「らむね的通販生活」の最初の頃について教えていただけますか? ブログになる前の、ホームページの時代のことから。
村山
そもそもは、海外通販ノウハウです。それまで、カタログ請求のためにファックスを送っていたんですけど、KDDに支払うコストが300円くらいだったんです。
四家
おー、国際電話FAX。
村山
それが、インターネットだと、今でもあるかな、「CatalogSite」というところで、1回アドレスを登録すれば、カタログ請求し放題だったんです。そういう海外通販を楽しく使うためのノウハウからはじめて、徐々に「カタログ請求しなくても、オンラインカタログで注文までできるよ!」ということになってきた。
さらに95年の暮れぐらいから、米沢の肉屋さんとか、Tシャツの岸本さんとか、国内でもオンラインショップのパイオニア的な方がぼちぼち出てきて、「へえ、おもしろいな」ということになり、それからは海外通販・国内カタログ通販・オンラインショップを交互に、毎週買ったものとかカタログなどを紹介していました。
四家
うどんの…山田屋だったっけ? パイオニアがいましたね。ホームページあるだけで雑誌に載っちゃう時代。当時「買い物のノウハウ」を公開するコンテンツってすごく少なかったんじゃないですか? 主婦向け雑誌くらいかな。
村山
ですね。完全に消費者サイドからのノウハウって貴重ですよね。だから、ほとんどの女性雑誌に取材されましたよ。通販のノウハウや海外通販のノウハウなどの監修で。
四家
なるほど。そして活動の場が、雑誌から新聞やテレビに広がっていったと。

揺れながら、自分らしさを貫いてきた

四家
プロとして、また自分の道楽として活動を両立してきたらむねさんが、今度はブログと出会うわけですね。
村山
そうです。ブログは衝撃でした。10年日記によると、2004年の1月17日にはじめて見て、1月24日に辞表を書いた。粗忽者。
四家
決断が早いですよね。いつも。自分の衝動を信じられるんだろうな。
村山
なんだかよくわからないけど、頭の中で「きんこんかんこん」と鳴ったんですよね。うーん。私にも理解できない。なんだったんだろう。
四家
いやでも、ブログというツールにふさわしい活動をずっと続けてこられたわけで、僕から見てると必然ですよ。らむねさんのその行動は。
村山
結局、ホームページやメルマガは、アーカイブ化するのにたいへんな手間がかかるわけです。それが一手間ですむというのは、ものすごいことでした。とにかく“カテゴリー”というものに、瞬殺されましたね。
四家
うんうん、ディレクトリで管理しなくていいんだと。
村山
キター!!って感じでした。そうなんです。HTMLも手打ちなので、限界があるんですよ、ほんとに。
四家
リンク切れに注意したり、カテゴリの分類方法考えたり、余計なところに力を使わないといけない。
村山
そう。本当にすばらしいと思います、ブログは。ようやくとっちらかっていたものが、整理できたんです。そして、アフィリエイトやアドセンスで、細々とであれば食べていけるというのも大きかったですね。個人が情報発信で食べていけるんだ!って。
四家
作業は楽になったし。収入源もできたし。
村山
もちろん、ホームページやメルマガでも、十分食べていける人はいましたが、私自身の納得のできるお金のもらい方ではなかった。意に沿わない広告を入れるとか。ちょっと違うかなと思っていたんですね。でもアフィリエイトやアドセンスは基本的に意に沿わない広告は載らないですよね。まあまあ自分も納得できるお金のもらい方かなと。私の場合、自分が使いやすいサイトであることが必須なので、アフィリエイトリンクを入れても、それは自分にとってのリンク集だったりするんですよ。
四家
らむねさんのブログは、コンテキストが強いですよね。どんな話題でも「らむねさんらしさ」がしっかり表現されているというか。「自分」という基準で貫いているから。それができる人は少ないんだ。
村山
と、おっしゃいますが、でも揺れますよね(笑)。私も揺れます。
四家
揺れも含めて自分じゃないですか。
村山
稼ぐためというよりは、自分にとって使いやすいサイトをつくるというのが大前提で、そこにアフィリエイトを付けられれば付けるという感じです。今も「らむね的通販生活」の3割から4割くらいはアフィリエイトではない記事。今日は何を書こうかなと思って書き始めて、書いたあとで「これってアフィリエイトできるのかしらん?」と、楽天とかリンクシェアを調べるというのが、私の記事の書き方です。
四家
ネットで文章を書いて収入を得る人はどんどん増えているわけですが、一方で書くのをやめてしまう人も増えています。後編では、らむねさんがどうやってネットでの活動を続けてこれたのか、その芯になっている部分についてうかがっていきます。

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この記事の著者

四家 正紀(シケ マサノリ)

株式会社カレン次世代ビジネスリサーチ室長。インターネット広告の草創期からWebマーケティングに携わり、現在はカレンにて次世代販促コミュニケーションについての研究活動と、ブログマーケティング・ブロガーリレーションズ案件のプロデューサーとして活躍。寄稿、講演多数。 ブログ カレン次世代ビジネスリサーチ室ブログ

著書

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/02/28 11:00 https://markezine.jp/article/detail/801

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