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海の向こうから学ぼう!大山忍のニッポンマーケター応援宣言

どうすれば最適化を実現できるのか?
覚えておきたい4つのキーワード

1人1人を狙いうち「行動ターゲティング」

 これまでインターネット上のユーザー行動の主要なポイントにおける最適化技術・手法について話をしてきました。

 これらの最適化を成功させる前提条件は、コンバージョン効果が異なる明確なセグメントを理解しているということであり、これらユーザーのグループ単位で最適化を図っているということです。

 今度は、老舗デパートのお得意様をもてなす案内係をイメージしてみましょう。

 デパートの入り口から出口でお見送りするまで、案内係が得意客の買い物についてまわり、過去の購入履歴による顧客の好みから、世間話の中で計り知る顧客自身や家族の現在のライフステージ、手に取った商品から興味やニーズを汲み取りながら、商品をお勧めしていきます。

 この得意客をもてなすサービスは、顧客単価を上げるだけではなく満足度をあげることによりデパートに対するロイヤリティと次回のリピート購入に結びつけ、継続的な売上貢献に結び付けています。

 5:25の法則(顧客離れを5%改善すれば、利益は最低25%改善されるという法則)にあるように、顧客の満足度・ロイヤリティの向上は企業の利益向上のための成功要因として無視できないものです。

 ウェブの世界でも、近年Relevancy(レリバンシー・関連性)という言葉が広く使われ始めたことが象徴するように、ユーザーが抱くサイトへの期待値とサイト上での経験値の乖離が少ないほど、コンバージョンにつながりますしその経験値の積み重ねが満足度・顧客ロイヤリティにつながっていくのです。

 このように、ユーザー1人1人のサイト上での経験を最適化するマーケティング(1to1マーケティング)を実行するための技術が行動ターゲティング(または、1to1ターゲティング)と呼ばれている技術で、その効果の高さが注目を浴びています。

 この行動ターゲティングの技術を一言で説明すると、ウェブ解析と、データマイニングの予測モデルと最適化アルゴリズムを使って、サイトに訪問するユーザー1人1人に対して、最適なコンテンツを自動配信する、ということになります。

 すなわち、前述したセグメンテーションやウェブ解析による効果測定というマーケターの仕事をAI(人工知能)がセグメントより更に細かい個々のレベルまでリアルタイムに学習し、自動的にコンテンツ配信・最適化まで行うことが可能となります。

 行動ターゲティングのメリットは、セグメント化できない微妙な行動の違いも、システムがありとあらゆるデータを融合させ学習し、予測モデルを変更して最適化を行うところにあります。一方、多くのデータをもとにシステムは学習をしていくので、訪問の多いサイトで威力が発揮できるという前提条件があることも忘れないでください。

終わりに

 以上、今回はオンライン・マーケティングにおける顧客接点最適化のテクノロジーに注目してお話をさせていただきました。ただし、ご理解いただきたいのは、ツールを導入すれば魔法のようにビジネスがうまくいく、という訳ではないということを改めて強調させていただきたいと思います。

 これらのツールを生かすためには、サイトのビジネスゴールを明確化にし、自社ビジネスの成功要因をウェブ解析のデータなどを基に分析・理解し、社内の理解と協力を得るといった、マーケターの地道な作業と経験があってはじめて成功できるものなのです。

 何事も、まずは最初のステップを踏み出すことが成功への道ですので、今回ご紹介した顧客接点最適化の視点が、皆さんの日常業務に少しでも生かしていただければうれしく思います。

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この記事の著者

大山 忍(オオヤマ シノブ)

米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併し、アフィリエイトシステムの開発企画やマーケティングマネージャーを務める。

2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベストプラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2009/10/21 11:00 https://markezine.jp/article/detail/8471

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