Webサイトを含めた営業の全体設計のタイプ例
営業プロセス内でのWebサイトの役割を決めていく際に重要となるのは、オンラインからリアルにプロセスが移る際に、何をもってWebサイトの「成約」と見なすかである。メルマガ登録や資料請求、相談サービスや見積もり、そして購入・申し込みに至るまで、いまやWebサイトが担える役割はさまざまだ。それを営業全体を見渡して有効不可欠なプロセスに組み込んでいく必要がある。
当然、最終的な成約に遠い「メルマガ登録」という成約は成約率が高く、『購入・申し込み』のような成約は低くなる。こうした『メルマガ登録』や『購入・申し込み』のようなユーザーが反応するための仕組み(反応装置)のどれをWebサイトに搭載するかという選択は、オンラインからリアルへの遷移をスムーズにし、最終的な売り上げに直接影響を及ぼす。そのため、反応装置の選択は慎重に行う必要がある。

そこで工藤氏は、オンラインとリアルを連携させた「営業プロセス設計」について代表的な3案の設計手法を紹介した。
まず1つめは、「オンライン上での活動は集客業務のみ」と割り切り、見込み客フォローや販売見極め、ファン化までの一切をリアルが担うタイプ。その後の工程は、実際の営業マンが介在するため最も成功率が高い。

2つめは、展示会やセミナー、訪問など営業マンによるリアルの活動で集客を行い、メールマガジンなどを活用した「見込み客フォローだけをオンライン上で行う」というタイプ。社員の机に眠っている多数の名刺(見込み客)を対象に、再び営業活動が行える。

そして3つめは、「商談だけをリアルで行い、後の営業プロセスはオンライン上で行う」という方法だ。Webサイトやメールマガジンで広くユーザーを囲み込み、メールで見込み客フォローを続け、顕在化してきたところでリアルな面談・商談へとつなげていく。例えば、有益な資料のダウンロードなどでメールアドレスを取得し、セミナーへの誘導などを行うモデルもこれにあたる。

いずれのタイプも、現在のビジネスの状況を真摯に鑑みていくことで、どれが有効かという見極めは簡単であり、さらに単独/並走どちらでで実施しても有効だ。もちろん、ビジネスによっては他の設計モデルもあるだろう。最後に工藤氏は、「これまでのWebサイトありきの発想を見直し、営業プロセス基点の仕組み作りを、ぜひ皆さんに実践して欲しい」として講演を締めくくった。