約150サイトを運営する勝ち組企業のレポート活用法とは?
求人、不動産、結婚、グルメ、資格とさまざまな業界で最大級の情報サイトを運営するリクルート。同社がどのような体制でWebサイトを運営して、現状把握とノウハウ共有をどんなレポートで行っているのか、その秘訣はWeb業界の関係者であれば気になるところだろう。
「本気で活用したい人へ!ゼロからわかるアクセス解析導入・運用完全ガイド」を連載中の小川卓氏は、アクセス解析イニシアチブとMarkeZine編集部が共催の「アクセス解析選定セミナー」で同社の運用体制の一端を披露した。その内容を実況中継していく。
リクルート社内で作られるレポートの種類
(以下、小川氏) リクルートでは、レポートをどのような形で作成して、どのように活用しているかということを、実際の事例を交えながらお話させていただきたいと思います。
まずは簡単に、リクルートではどんな種類のレポートを作っているのか、そのソースとなるデータはどこから来ているのか、説明させていただきます。
リクルートで作られているレポートの1つに、全体把握レポートと呼ばれるものがあります。サイト全体のPVや訪問回数を時系列で取って、2~3年間のデータと比べてアクセストレンドを把握したり、どの季節に流入が多く、どの季節にコンバージョンが多いかと全体を把握する目的のレポートです。このレポートはすべてのサイトで、同じフォーマットを使って作っています。
2つ目は、集客ポートフォリオのレポートです。弊社では、いろいろな集客方法を使っています。リスティング、アライアンス、プロモーション、アフィリエイトとさまざまです。集客の内訳を見て、SEOからの流入がどれくらい多いのか、それはリスティングと比べて十分に多いのか、流入が多くてもコンバージョンにつながっているのか、といった集客経路の内訳と成果を見るために作るレポートになります。
もう1つは、キャンペーンレポートと呼ばれるものです。定常的なリスティングなどの集客手段以外の集客についてまとめたもので、メールマガジンでのプレゼントキャンペーンや、ある企業と組んでのプロモーション、あるいはTVCMを集中的に投下した等のキャンペーン内容、その目標と成果をまとめて評価するために使われます。
最後に詳細レポートというものを、各サイト固有で作っています。サイトごとに会員属性や実際の売上などのアクセス解析では得られないデータも使ったレポートが必要になります。そのために詳細レポートというものをサイト別に作っていきます。
レポート作成を支える4つのデータソース
レポートの種類は以上になりますので、次にデータソースについて説明します。
レポートを作るデータソースは4つあります。1つがアクセス解析。みなさんが一番ご利用されているソースかと思いますが、アクセス解析ツールの画面から、あるいはそこからCSVなどでダウンロードしたデータを使っています。
ほかには、アクセス解析のRAWデータも使います。集計する前のデータをダウンロードしてきて、ほかのシステムに組み込んで分析するといったことをやっています。
アクセス解析ツールには一定の決められたルールがあります。例えばセッションの長さはこれくらいで取るとか、日をまたぐセッションは切って集計するといったルールです。RAWデータを使えば、そういったルールを無視できます。ほかのデータとつなげて自由に分析できますから結構使っています。
それ以外には、内部データと呼ばれるものを使います。これは会員のデータベースであったり、広告掲載いただいているクライアントの社数、会員属性であったり、アクセス解析で取れないデータになります。これをアクセス解析のデータソースと紐付けて使っています。
最後に外部データですね。これはAdWordsやYahoo! JAPAN リスティング広告の画面から手に入るキーワードごとのインプレッション数であったり、ほかのサイトのPV/UUが分かるビデオリサーチインタラクティブのネット視聴率レポートが該当します。