体験から消費への流れが加速
情報過多な環境の中で十分な“モノ消費”をしている消費者にとって、単なる知識伝達型の広告ではなく、楽しさやオリジナルさ、カスタマイズされたメッセージなど、さまざまな角度から語りかける広告は有効です。
そこでの価値は、徐々に単なるモノ消費から、その背景のストーリーやブランドの持つエピソード、消費者自身との関わり方などがあり、さまざまな付加価値を伴った消費は、価値を増大させてくれる体験消費へと進化していきます。現代の消費者は単なるモノの提供だけでは満足しません。つまり、そこで得られる体験や想い、新たな出会いが購買行動に結びついているのです。
これまでメディアが担ってきた「認知」「商品理解」の促進というだけの機能では消費が進まず、新しい体験やその体験の共有、言い換えれば“消費者同士が語り合える環境や共感できる価値”を提供することが重要な役割となってきているのです。
体験型コミュニケーションを習得せよ
体験型コミュニケーションとは、いかに消費者自身に、実感を伴った価値への気づきを起こさせるか、というコミュニケーション手法です。これまでの、一方向的に提供される認知や理解というだけでなく、新しいことへの自らの気づきや体験がコミュニケーションの中心になってくるという考え方です。

今までのメディア(=媒体)という、情報を媒介するという機能が、インターネットによって、接点として、体験との出会いや新しい気づきを提供する、あらゆる場面に広げられる表現に変わってきています。つまり、マス4媒体だけがメディアではない、消費者に情報を提供できるあらゆるチャンス=接点という考え方です。
消費者のあらゆる行動に伴ってその接点は生まれてきます。電車の中や街での風景、今まで思いもよらなかった“接点”が媒体化されてきています。そして、その接点のそれぞれが消費者の気分や態度にあわせて特徴を持っているのです。たとえば、朝の時間、電車の中では、これからの仕事や学校のことを考えるでしょう。
帰りの電車では、家に帰ってからのことを考えると思います。それぞれのタイミングを捉えて、転職の情報や進学の情報、あるいは週末のバカンスの情報など、さまざまな広告が展開されるのです。
この傾向が最も強くなるのもインターネットです。なぜなら、インターネット上での検索のタイミングなどは、最も能動的に情報を欲している状況だからです。そのタイミングを狙って、競合他社の情報ではなく、自社の情報にたどり着いてほしい。これがまさしくリスティング広告であり、行動ターゲティングという発想に結びつくのです。