いまだインターネット黎明期の中国
それでは、EC市場の形成を後押しする中国インターネットユーザー層の動向を眺めてみたい。
中国のインターネット利用者数は、下図のように推移し、EC市場はインターネットユーザー数の増加と正比例して伸長している。一方、日本では携帯でオンラインショッピングを楽しむユーザーが増えているが、中国では事情が違うようだ。「中国における携帯電話の普及台数は国民12億人に対して7~8億台と発表されており、ほぼ1世帯につき1台以上は持っている計算になっているのですが、PC経由での購入が圧倒的です」。
インターネット利用者が3億人を突破している。
若い層のユーザが多いが30代以上のユーザも増加傾向にある(出典:SBIリサーチ/powered by iResearch)


中国におけるPCの普及状況は都市部では自己所有率が高いが「ネットカフェが流行っており、そこでPCを利用するユーザーも多いと思います」と矢井氏は見解を示した。
続いて、中国インターネットユーザーのPC利用の時間帯を聞いたところ、バイジェイドットコムの場合、多くのユーザーが「日中会社にいる時間帯にアクセスしていると推測できます」という。いまやビジネスツールとしてPCは欠かせないものだが、PCを保有していなければ会社のPCを使えばよいという発想のようだ。
また、ネットを介したコミュニケーションにも中国特有の傾向があるようだ。中国ではチャットが流行しており、ビジネスツールとしても大きな役割を担っているとのことである。多くのユーザーは『QQ(騰訊)』というサービスを利用しており、QQの利用ユーザー数は推定2億人ともされている。
このチャット文化はEC運営においても活用されている。日本では購入者とショップ運営者のやり取りはメールが当たり前と思われているが、中国では「チャット」が活用されているという。
「中国人の国民性としてせっかちという点が挙げられます。質問をしたら、とにかく早く回答をして欲しい…というニーズが高いようです」と矢井氏は言う。
そのためか、商品への問い合わせ数などは「かなりの数に上る」という。また、それ以外にも購入の前にチャットで値下げ交渉をしてくる、というケースもあるようだ。