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Omniture Summit 2010総力レポート

世界屈指のメディア企業Turnerでは、どのようにオンライン動画を解析しているのか?

ユーザーの動画視聴動向は、どこまで解析できるのか?

 では現在、動画の視聴動向を計測する場合、一体どのような指標を解析可能なのだろうか。

 SiteCatelystでは、動画視聴を計測するレポーティング機能が備わっており、現在は11種類の動画に関するトラフィックレポートが提供されている。「動画のユニーク視聴者数」から「ボリュームボタンのクリック数」「コメント」「早送り」「バイラルされた数」や「共有された数」まで、さまざまなユーザーアクションを計測することが可能となっている。

 また、「動画視聴数」「エンゲージメント(動画の視聴率)」「完視聴レート」「コンバージョン数」なども計測することができる。例えば、「終了10秒前ではユーザーの視聴率が下がっている」「開始30秒までは高い率でユーザーが動画を見続けている」などの動画エンゲージメントを計測することも可能だ。

 さらに、ユーザーが「次にどの動画を視聴したのか」など、ユーザーの動画視聴行動をフローとしてトラッキングすることもできる。動画だけでなく、「動画視聴前に閲覧していたページ」「動画視聴後に遷移したページ」もトラッキングが可能なため、ページと動画間のパスを捕らえ、通常のWebページと同様、包括的に解析を行うことができるようになっている。

細かな平均動画視聴時間や、動画視聴の遷移なども把握可能
細かな平均動画視聴時間や、動画視聴の遷移なども把握可能

動画とWebページの解析では指標が異なる

 Turner社では、運営する各Webサイトで動画計測を実施するにあたり、SiteCatalystで提供されている標準機能とは別に、動画特有の課題に取り組む必要があった。それは、ページビューなど既存の計測指標に沿った動画視聴メトリックスを、トラッキングすることである。

ページビューかNotページビューか

 オンライン動画サイトでは、2種類の動画プレーヤーの掲載方法がある。

 例えばveryfunnyads.comでは、最初のページがロードされた後、動画を次々に見ていってもページのリロードが発生しない。従って、1ページビューで数多くの動画視聴が発生する。

veryfunnyads.com
veryfunnyads.com

 一方、CNN.comでは動画への誘導リンクをクリックすると新しいページが開き、そこで動画が再生される(ディープリンキング)。

CNN.com
CNN.com

 どちらの表示方法がいいかはビジネス要件によるものであり、一概に優越はつけがたい。しかし、動画を利用したマーケティングを行い、効果を計測して改善を行いたいと考える担当者には、悩ましい点でもある。

自社のビジネス要件に適した指標設定が重要

 Turner社の場合は、ページビューという概念にはとらわれないように決め、ユーザーの意図を計測することを目標としたという。

 例えば前述のCNN.comでは、ユーザーが動画を完視聴するまでに通常6ページビューに相当する遷移が必要になる。しかし、ユーザーの意図を計測するためにページビューと動画視聴率を分けて計測することにしており、動画視聴の指標としては、SiteCatalystで計測できる「再生開始」「25%・50%・75%経過」「再生完了」といったイベントを利用している。

 また、「ページが開くと同時に動画の再生が始まる場合」についても、指標の計測に注意する必要がある。当然ながら、ページが開くと同時に編集者やプロデューサーが選んだ「お勧め動画」が自動的に再生される場合、その動画はユーザーによって選択された動画ではない。そのため、ユーザーが見たいコンテンツとは関係なく流れる動画であり、通常の動画視聴率とは区別する必要がある。同様に、記事の中に埋め込まれている動画なのか、動画のポータルセクションに埋め込まれているのかで分けて計測・レポートする必要がある。

 このように、既存サイトの意図に合致したコンセプトで、動画視聴の重要指標設定した上で、計測を行う必要がある。

社内の理解を深める

 実際に指標等が決まっても、それを実装し、データを活用するためには、社内での動画に対する理解を深める必要がある。

 Turner社でも、計測に関する複雑な要件定義を実際の開発者と共有し、実装までを完成させるためには大変な苦労があったという。同社ではまず、『SDR(Solution Design Reference)』というドキュメントを作成して計測するプロパティを定義し、開発チームと共通の認識を持つようにしたという。

SDRの一例
SDRの一例

 また、動画メトリックスの計測については、開発者だけでなく、広告のセールスチームやマーケティングチームとも十分に意思疎通しておく必要がある。その際、「小難しい文章で要件定義を記述するより、具体的なシナリオを取り上げ、視覚的に単純化して説明する必要があった」とWill氏は語る。さらに、Webや動画関連のテクノロジーと解析に関する要件に精通している人間を、社内で育成することも必要だったという。

モバイルでの動画解析も今後は課題

 このように動画の解析には、単純にWebページを解析する場合とは大きく異なる点が多々あり、自社の目的やビジネス要件に合わせて、指標を設定し、計測、改善を続けていく必要がある。最近では、iPhoneに代表されるスマートフォンの登場により、アプリケーションやモバイルサイトでの動画視聴も盛んに行われるようになっている。今後は、こうしたモバイル動画の計測も大きな課題になってくるだろう。

 最後に、今後マーケターが行うべき5つの事項が提示され、セッションが締めくくられた。

  • コアとなる動画計測の指標を定義する(ページビューなど)
  • どこまで深く解析するのかを明確にする
  • SDRを作成する
  • 動画/ページ間のパスを解析可能にする
  • iPhone上での動画解析に関するドキュメントを読み、コードをダウンロードする(最近オムニチュアからリリースされたiPhone Measurement SDKにより、モバイルアプリケーションやモバイルサイトでの動画視聴状況のトラッキングも可能になっている)

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この記事の著者

須賀 正明(スガ マサアキ)

McGill University修士課程卒業(MBA)。ブリティッシュコロンビア州バンクーバーITベンチャーで、M&A戦略の策定、アジアパシフィック地域の事業戦略の策定、市場開拓に従事。2002年よりMacromedia(現Adobe)にて、Flex、ColdFusion、JRunのプロダクトマネージメン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/03/16 11:00 https://markezine.jp/article/detail/9866

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