価格ではなく付加価値で勝負できるサービスを
訳があって安くできるのなら良いが、訳もなく価格勝負になっていくと出店者側のビジネスは厳しくなるばかり。「1円でも安い商品が売れていくとなると、どこかで限界が出てきてしまいます」と価格勝負は藤田氏も危惧するところ。楽天としては、ただの価格競争ではなく、付加価値で勝負できるようなサービスに注力していく計画だという。その試みの1つが、翌日配送を約束する「あす楽」というサービスだ。
「『明日までに欲しい』というニーズの人は、50円高くても買ってくれます。そう考えると、あす楽にしづらい商品をあす楽に登録していただくだけで、その市場を取りに行ける。購入者にも出店者にも、それぞれメリットがあるわけです」

海外進出で日本の企業を元気に
楽天は今年1月、百度と合弁で中国にECモールの事業を立ち上げると発表。タイ、台湾といったアジアなどの海外への進出に意欲的だ。
楽天に出店中の店舗数は3万店以上。実は、そのうちの8000店舗以上が海外ユーザーに向けた対応をしている。主に欧米に住む日本人が日本製品を買う目的で使われていたが、最近ではアジアの人々が日本製品を買いたい時に利用するなど、新たな利用者を国外から連れてこれるようになっているという。
「日本の楽天にある店舗の情報は、自動翻訳で外国向けのページを作って表示しています。自動翻訳の精度はまだ低いので、不適切な部分だけを店舗の方に直してもらうような機能も提供しています。多いとは言えませんが、中には日本向けとはまったく別にサイトを作っていただける店舗も出てきていて、『海外販売を強化しよう』という意志を持つ店舗さんは増えてきています」
あす楽や海外販売、動画を使った商品の販売促進などのように、出店者が価格以外で勝負できるサービス・機能を増やしていきたいという藤田氏。「今後も楽天市場に現在ない価値をどんどん作っていきたい」と意気込みを語った。
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