制約のあるカタログに対してWebでは奥行きのあるコンテンツを
ECサイトの見せ方を決めていく上で、カタログを発行している企業ならではのこだわりもあるという。
「カタログでは色が違ってはいけないし、サイズも分からなければなりません。素材感もちゃんと伝える必要があります。カタログに載せる写真には非常に気を使っています。カタログは限られたページ数での勝負なので、出したい情報を最小限に圧縮して届けています。
一方、Webではページ数の制約がないので、発想を逆にしてコンテンツの奥行きをどんどん作っていかなければなりません。ボタンはどうなっているか、着た感じはどうか、とWebでは制限無く見せることができます」
そうしたカタログとWebとの違いを踏まえ、見せ方を変えているところもあるという。例えばWebの方では、複数のブランドを組み合わせたコーディネイトをレコメンドしている。カタログではブランドごとに分かれているので、そもそもブランドを越えた提案は不可能なのだ。
「1つの商品に対して、さまざまなバリエーションのコーディネイトを提案しています。これはカタログではできなかった表現ですね」
奥行きにこだわったコンテンツを作っている分、前述のように1人当たりのページビューは30~40ページとかなりのページを閲覧されるようになっている。いろいろと見比べながら買う商品を決めていく。フェリシモはそんなサイトになっているようだ。

「スタイルの提案」を切り口にフード・本・音楽などにも進出
こうして見てくると、フェリシモのサイトはコレクションというリピート率の高い販売形態に最適化されてきたことが分かる。ファッション以外にも、生活雑貨、フードや本・音楽CDなどの取り扱いにも乗り出しているが、基本的にはこちらもコレクション形式で販売している。
「本やCDは、単品ではなく組み合わせて売っています。本屋では売れない商品でも、フェリシモでは売れ筋になったりしています。CDでは『寝る前に聴くと癒される』曲といった特集などを行っており、シーンに合わせた提案を『面白い』と感じていただけた方に買っていただけているんだと思います」
毎月25色の色鉛筆が送られてくる

今後はこのコレクションスタイルで、中国や欧米など海外に向けた発信も積極的に行っていくというフェリシモ。「新しい自分を発見できる」という点が喜ばれていると紹介したが、ECサイトなどで強いロイヤルティを獲得するためには、お店という基本に立ち戻った「ファッションスタイルやライフスタイルを提案する」という付加価値をいかに付けることができるかが、カギになっているのかもしれない。
eビジネス本部eビジネス部 部長
島 重仁氏

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