ユーザーはモバイル検索にそれほど不満を感じていない?
門田氏は、モバイルサイトの黎明期から自身でモバイルサイトを運営していた経験があり、長い間その動向を見つめてきた。それゆえ、モバイルサイトの黎明期から現在に至る過程から、モバイル検索エンジンの動向もみてとることができるという。
検索サービスが台頭する以前、モバイルサイトにおいてWebサイトを検索する手法といえば、登録されたWebサイトをアクセス順などでランク付けして掲載する、いわゆる“ランキングサイト”が主流であった。さらにPCからアクセスされると、サイトが荒らされたり、サイトの中身を丸ごとコピーされたりすることがあったため、IPアドレスやユーザーエージェント、固体識別番号などを用いて、PCからのアクセスをブロックすることが多かった。
こうしたモバイルサイトならではの仕組みや作法が出来上がっていた所に、PCベースのものをそれに合わせる形でモバイルの検索エンジンは作られてきている。それゆえ、以前からモバイル検索の精度の低さを指摘する声は多い。だが門田氏は逆に、ここまで日本独自の仕様で構築されたモバイルサイトにカスタマイズさせていることは、むしろ優れているといえるのではないかと評価している。
そしてモバイルサイトを利用するユーザーの側も、モバイル向け検索サービスの精度はそれほど低いと思っていないのではないか、とも話している。かつてのランキングサイトなどは、ランキングサイトからランキングサイトにリンクが張られていたりして、延々とランキングサイトをぐるぐる回る羽目にあうなど、目的のWebサイトにアクセスするのは楽なことではなかった。それゆえ、目的のキーワードを入力すると目的のWebサイトが表示されるという、現在のモバイル検索サービスに対しても比較的寛容なのだという。
またモバイルサイトのリテラシーが高いユーザーは、上位のWebサイトに必ずしも適切なWebサイトが表示されているとは限らないことを学習しており、それを避ける能力も身に着けているので、2、3ページと深く閲覧する習慣を持つ人もいるという。一般的にモバイル検索においては、深く階層をたどらないのでPC以上に上位表示が求められるといわれているが、こうした傾向もあることから、必要以上に上位表示しないことで、SEOにかける費用を抑えるという手段もあるようだ。