"地域という武器"が活かしきれていない現状
「インターネットには地理的な制約がない」。そう言われてはいるものの、どうしても超えられない壁はある。伝わってくる情報の厚みは、どうしてもネット企業が集中する首都圏に偏りがち。自然とネット活用の取り組みも、関東の企業からトレンドが生まれている。
例えばYahoo! JAPANの提供しているYahoo!リスティング広告。2002年から始まっている定番の集客手段でも、地域によって利用率は極端に違う。便宜上、関東でECサイトを運用する企業の利用率を1とすると、地方での利用率はおよそ0.3~0.5程度。まだまだ地方には、十分なポテンシャルを秘めたままWebを活用できていない企業が多いようだ。
関東以外での利用が遅れている要因として、まずは前述のような情報伝達の違いが挙げられる。Yahoo! JAPANは関東並みの情報を提供できるようにしようと、2007年にはオンライン代理店制度を導入。地場に強い広告代理店とパートナーシップを結ぶことで、Yahoo!リスティング広告の認知・理解を広めてもらおうと努めてきた。それでもまだ関西と関東を比べると、関西圏で活動しているオンライン代理店は社数にして5分の1程度にとどまっている。
Yahoo! JAPANはほかにも、地場産業をテコ入れしたい商工会議所や第三セクターが主催するセミナーに積極的に参加、今年4月にはYahoo! JAPAN主催で400人規模のセミナーを福岡で開催した。さらに自社の営業網も広げようと、大阪に続いて名古屋、さらに2009年11月には宮城・福岡で支社をつくった。そうした取り組みの結果、ここ数年、地域企業での導入数は関東を数十%程度上回る伸び率を示してはいる。ただ既に触れたように、まだ関東ほどの利用率には達していない。
ヤフー株式会社BS本部マーケティング部の水谷美由紀氏(写真左)は、地域企業が先行する都市部の企業に引け目に感じてしまっていることも導入が進まない要因の1つではないかと分析する。
「インターネットの魅力としては、日本全国を相手にビジネスできる点を挙げていただいております。ですが、逆に考えると全国が競争相手になってしまうということ。せっかくサイトを作っても、先に取り組みを始めている企業に負けてしまうのではないか、と考えて二の足を踏んでしまう企業様が多いようです」
だが、“地域”という武器を活かすことで先進的な企業に負けない、あるいは先進的な企業と競う必要がないWebマーケティングも可能だと水谷氏は語る。水谷氏が紹介してくれた地域企業ならではのサイト運営の成功事例を見ていこう。
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