独自の商品力と検索の地域トレンドをつかむことが“地域to全国”の成功のカギ
地域企業のサクセスストーリー。それには“地域to全国”と“地域to地域”という2つのパターンがあるという。
“地域to全国”とは、地域企業がほかの企業にはない独自の商品・サービスに焦点を当てることで、全国的に展開しようというもの。「隠れた逸品」「こだわりの限定品」など、従来、ECサイト運営のサクセスストーリーとして語られてきたのがこのシナリオだ。
一例としては、長崎県の五島列島にある有限会社テル鮮魚の水産加工品・鮮魚を取り扱うECサイトが挙げられる。
テル鮮魚は無添加というこだわり、素材を活かした昔ながらの味といった商品力ばかりか、五島列島という土地の歴史・美しい自然・優れた漁場といったストーリーをサイト来訪者に伝えようと考えた。五島列島という立地を最大限に活かし、全国でも差別化できるサイトづくりを心掛けたのだ。
さらに広告文を試行錯誤したことが奏功。同社売上のうちECサイト経由の売上が大半を占めるようになったという(活用事例)。
Yahoo!リスティング広告には、Yahoo!の検索結果画面に表示される検索連動型広告「スポンサードサーチ」と、閲覧ページや行動履歴などを基にYahoo!やモバゲータウンなどの大手サイトのページ内に表示される興味関心連動型広告「インタレストマッチ」という2つのサービスがある。テル鮮魚に限った話ではないが、全国を相手にできる商品を持つ企業がプロモーションを検討する場合、この2つのサービスをうまく使い分けることが成功のカギになると水谷氏は語る。
「地域企業が勝つためのカギの1つは、地域ターゲティングになります。例えば『温泉旅館』というワードは、全国で満遍なく検索されています。ですが、有名な温泉地や旅館名などの検索数は、その周辺の都道府県で特に多くなります。ブランド名が知られている近くのエリアでは検索ニーズが顕在化していますが、離れたエリアでは潜在的なままです。このようなケースでは、検索ニーズが顕在化している都道府県にはスポンサードサーチ、潜在的なままになっている都道府県にはインタレストマッチでアプローチをかけるのが有効です。あるいは同じ温泉地に行くにしても、近くから行くのと遠くから行くのでは移動手段が異なります。新幹線なのか、飛行機なのか。アクセス手段によってランディングページを変えるなど、地域ターゲティング機能を駆使して、地域によって細やかに対応することが差別化につながります」
このほか、訴求する旅館が草津にあるのなら、「温泉」ワードではあえて上位表示を狙わず、「温泉 草津」といった地名との複合ワードで果敢に上位表示を取りに行くといったメリハリを付けた運用もパフォーマンス向上のヒントになるそうだ。
地域ならでは商品力を武器に、検索の地域トレンドを活かしたリスティング広告の運用を考えること。それが“地域to全国”のシナリオでは、成功への近道になるようだ。
【お知らせ】
MarkeZine Day 2010 OSAKAのヤフー社講演資料が特別にダウンロード可能です。参加者から高評価を得た資料を見たい方はこちらへどうぞ!