Q. 「ちょびリッチ」という事業はどのような発想で生まれたのでしょうか?
30才になるまでになんとかして事業を自分で始めたかったのですが、なかなかきっかけになるものがありませんでした。サラリーマンとして仕事も順調にこなし、このまま仕事を続けてもよいかなと思うこともしばしばありました。
その一方で、強引に何か理由を作ってても会社を辞めないとこのままサラリーマンを続けてしまうのではないかという焦燥感がありました。
そのような思いを抱いていた時期、世間は2002年の日韓ワールドカップが盛り上がりをみせていました。私は趣味でサッカーをやっていたこともあり、このワールドカップを観戦しに行きたいと思っていたので、この日韓ワールドカップを自分自身の区切りの年と設定し、サラリーマンを辞め、独立することに決めました。
独立することに決めたものの、大きな資本の後ろ盾があるわけではないので、いかに小資本でスタートできるかということを考えるとインターネット関連のサービスが良いと思いました。アイデアは3つありました。
- チャリティオークションサービス
- 実家がある長野の地域情報サイト
- アフィリエイト型のショッピングサービス
(1)のチャリティオークションは社会的な意義はとても強いと思うのですが、いかんせん儲からない。(2)の地域情報サイトは創業時にサポートしてくれる予定だったパートナーがいたのですが、彼に反対されたことで却下となりました。そこで、最後に残った(3)のアフィリエイト型のショッピングサービスを具体化し、長野の自宅でサービスを開始することとなりました。
ちょうどこの時期、ネットショッピングの利用者数が急拡大し始めており、私自身もネットで様々なものを購入していました。このときに気づいたのが、各ショッピングサイトが独自に様々なポイントを発行しているにも関わらず、いざポイントを使おうとすると欲しい商品に対してポイントが微妙に足りなかったり、そもそも欲しい商品自体がなかったりといった状態でした。
こういった自分自身がユーザーとして感じた不便を解決するために、ネットショッピングで還元されるポイントの共通化を図ってネットユーザーの利便性を高める仕組みを提供しようと考えました。これが現在の事業に繋がっています。

Q. 現在の事業を軌道に乗せるにあたり、苦労した点を教えてください
サービスをリリースしたものの1ヶ月目の収益は、わずか13円。本が1冊売れただけでした。初月から20~30万円の売上を見込んでいたので、焦りましたね。
ただ、1ヶ月間運営して、手ごたえはつかんでいたので、改善できるところは改善し、2ヶ月目からは20万円ぐらいの収益があがるようになりました。その後は、ユーザー数の増加に伴って売上が伸び、利益をあげられるようになりました。
「ちょびリッチ.com」はポイントを還元するサービスですが、当時のシステムでは手作業でのポイント付与が必要でした。そのため、ユーザー数増加に比例して増え続けるポイント付与作業に追われ、毎日深夜まで「会員○○さんに△△ポイント付与」みたいな感じでキーボードを叩いていました。収益拡大で嬉しい反面、睡眠不足との戦いでしたね(笑)。
Q. 2004~2005年辺りはポイントサイトが乱立していましたが、競合他社とどのように差別化し、競争に打ち勝ったのでしょうか?
1番のポイントは「顧客重視である」ということですね。具体的には、会員さんが飽きないように新しいコンテンツを追加することや、大量の広告メールを会員さんに送らないといったことです。あとは、少人数なので小回りが利き、スピード感があるところがよかったのかもしれません。
他のポイントサイトの中には、自分たちが儲けることしか考えておらず、会員さんに毎日のように広告メールを送り続けていたり、広告主のことを考えていないところもありました。
一時期ポイントサイト数が急激に増えましたが、今は数社に淘汰されてきましたね。
Q. 長野で事業をしていた頃は、どうやって広告主を獲得していたのでしょうか?
アフィリエイトを専門に取り扱う広告代理店をネットワーク化して、主に電子メールでやりとりを行い、広告主を獲得していました。
Q. 東京に進出する際に、気をつけたことや心がけたことはありますか?
特に気を付けたことはないのですが、田舎者なので都会の悪い人には掴まらないようにと心がけました(笑)。