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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

ビジヲタ必見!「すべらない事業」の作り方

受託開発からの事業転換を成功させたホットリンク社COOの話

Q. 顧客の継続率を維持するために心掛けていることはありますか?

 営業部門内に、CRM専門の担当を設置しています。

 「クチコミ@係長」の利用状況を解析し、その利用状況に応じてコンテンツを工夫したメルマガを配信したり、時には営業マンを訪問させたりしています。ワン・トゥー・ワン対応を、技術を駆使して行うよう心掛けています。

Q. 成瀬様のように、営業やマーケティング畑のキャリアの方が、テクノロジー系企業への転籍で力を発揮するためのコツは何かありますか?

 一概には言えませんが、やはり「好きこそものの上手なれ」なのではないでしょうか。最初はエンジニアの社員達とは共通言語で話すことがなかなかできなかったので、一生懸命本を読み漁って勉強しました(笑)

 今でも自分でソースコードを書ける訳ではありませんが、事業戦略の視点やマーケティングの視点で、逆にエンジニア達が気付けない点などを遠慮せずにドンドン主張して行くことがポイントなのではないかと思っています。

Q. 事業をすべらせないためのコツは何でしょうか?

 「事業計画は必ず計画どおりには行かない」という事を前提に、あらゆる可能性を排除せずにオプションを想定する創造力だと思います。

 特に事業撤退ルールやコンティンジェンシープランの設定は重要だと感じます。すべる時はすべりますが、そのすべり幅をどこまで許容できるのかを知る事が、とても大切だと思います。

 理屈上は今言ったとおりなのですが、実際はさまざまな紆余曲折があり、本当にいろいろな方々に相談しながら、暗中模索で進めるものだと思います。そう考えると、「どれだけ良きブレーンを日頃から回りに持てるか」という点も、大切なキーポイントですね。

Q. 今後の目標を教えてください

 まず、自社に関する事では、2015年12月までに(1)社員満足度100%(2)社員の平均年収1000万円を実現します。

 これは、「社員満足が低い組織に顧客満足を満たす事はできない」「高収益事業を次々と生み出す」という信念の元に、全社員合宿で定めた目標です。こうした条件を満たしたうえで、「プロジェクトX」のようなビジネスドキュメンタリー番組から取材のオファーをもらう事を、全員で目指します(笑)。

 そして、自分自身の目標ですが、子供達やこれから社会に出る人々のためにも、低迷する日本経済を元気にする一翼を担うことです。

 日本経済再生のキーワードの1つは、「技術立国ジャパン」だと思っています。そして、昭和の時代と違い、製造業ではなく情報技術産業がその牽引役になると考えています。優れた技術系の人達は、得てして会社経営やビジネスが苦手であり、もっと多くの経営のプロが必要です。

 しかしながら、日本にはシリコンバレーのようなエコシステムが、まだ存在しません。弊社のような優れた技術を有するベンチャー企業の経営をプロとして担えるようなスキルと経験を磨き、新しい事業を創造し続けることによって、歳老いてからも一生ワクワクできるようなビジネスキャリアを送れたらいいなぁと考えています。

インタビューを終えて

 創業初期から参画した企業が大きく成長を遂げ、自分自身も幹部社員となった場合、会社との関係が良好な限り、多くの人が「そのポジションへの安住」を選択するのではないだろうか。

 成瀬氏の場合、元の会社に籍を置く「出向」という形ではなく、「転籍」として文字どおりオプトとの雇用関係を打ち切り、退路を断ってホットリンクに参画した。しかし、前職経営者との「厚い信頼関係」を保ちながらの転籍を実現している。これはなかなか、実現できることではないだろう。

 事業責任者として新しい会社に参画する場合、サービスの質や資金調達などの手腕はもちろん重要だ。しかし、事業を成功させるには成瀬氏のように、マインドとして「退路を断ち参画する」くらいの気概、そして何より前職の会社との「厚い信頼関係」が、隠れたスパイスのようなものではないかと、今回のインタビューからは感じさせられた。

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この記事の著者

矢作 嘉男(株式会社ハチワン)(ヤハギ ヨシオ(カブシキガイシャ ハチワン))

株式会社ハチワン代表取締役。New Jersey City University卒。
中国人観光客向けクーポンサイトなどインバウンド媒体を運営。
2011年、中国のインターネットプロモーション事業を行う北京博洛密網絡科技有限公司と提携し、中国向けプロモーション事業を開始。本当に成果の出る中国市場向けインターネットマーケティングのみをを提供し、インバウンド向けから中国現地進出向けまで数多くの実績を持つ。
プロモーションのご相談:info@813.co.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/09/02 11:00 https://markezine.jp/article/detail/11443

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