ソーシャルメディアの力でお友達紹介クーポンを拡散
リスクを抑えながら自由にフラッシュマーケティング施策を実施できるという以外にも、品品プレミアムモールには従来型のクーポン共同購入サイトと異なる大きな特徴がある。その1つが、リアル店舗の場合よく見かける「お友達紹介クーポン」を、ソーシャル化した仕組みで提供する独自の「プレミアムクーポン」だ。
プレミアムクーポンは次のような仕組みだ。まず、ショップで商品などを購入する際、初回限定でお得な割引クーポンが使用できる。注文完了後、購入者には「紹介クーポン」がURLとして発行される。購入者は、これをソーシャルメディアなどを通して友人に配布する。紹介された友人は、そのURLをクリックしてお店ページへ訪問すると、割引クーポンがもらえる。そして、紹介相手がそのクーポンを使って商品を購入した場合、紹介元であるはじめの購入者にも「紹介成約クーポン」が配布される。つまり、クーポンがユーザーの間で好循環していくということになる。
リアルでは直接相手に手渡す必要があったりと、意外に配布が難しい「お友達紹介クーポン」だが、ネットとの相性は非常に良い。購入者はとりあえずソーシャルメディアにクーポン情報を投稿しておくだけで、一度に多数の相手にクーポンを配布できる。配布が簡単かつ紹介者と紹介相手の双方にメリットがあるため、ユーザー間のクチコミが自然に加速していく。
この発想について中村氏は「フラッシュマーケティングは、割引という形で広告宣伝費をユーザーに還元することによって、ユーザーが企業の広告宣伝を担当するわけです。ユーザー側からは大盤振る舞いに見えるかもしれませんが、新規顧客・有力顧客の獲得にかける広告宣伝費として考えると通常の施策よりも費用対効果が高いので、企業の利用が促進されるのではないかと思っています」と解説する。
インフルエンサーを特定できる仕組みを提供
また、「顧客データが把握できる」というのも品品プレミアムモールの大きな特徴と言える。従来型のクーポン共同購入サイトの場合、どのユーザーがクーポンを購入したのか、誰がクチコミの拡散に貢献したのか、といったデータはサイト運営者側に集まるため、ディールを実施した企業はこの情報を得ることができない。しかし、品品プレミアムモールの場合、こうしたデータは各出店企業と共有され、管理画面から各ユーザーの影響力も把握でき、コンタクトを取れる仕組みになっている。
「例えば、1000人の新規顧客を獲得できたとしたら、その裏には10人~20人の影響力の強いユーザーがいるはずです。影響力の強い有力顧客を発見できたら直接そのユーザーとコミュニケーションする、情報を提供するなどさまざまなアプローチを取ることで、クチコミを伝播させやすい状態を形成していくことが可能となります。こうした情報を出店企業とシェアしながら、一緒に成功していくというのが我々の考え方です」(中村氏)
その他にも、モニプラでのソーシャルメディアマーケティングで培ってきたノウハウやサイト運営側で得た知見を積極的に企業側に提供する、出店企業ごとに担当コンサルタントを付けるなど、フラッシュマーケティングをこれから始める企業のためのサポート体制も万全の構えだという。
アフェリエイトの壁を超え、拡散されるフラッシュマーケティングの力
成果報酬型広告宣伝の代表的な手法と言えばアフィリエイトが挙げられるだろう。しかし、アフェリエイトの場合、ブログやメルマガなどを使って集客を援助するアフェリエイター側にしかメリットが無かった。ここがフラッシュマーケティングとアフェリエイトの大きな違いだと、中村氏は指摘する。
「アフィリエイトでリンクをクリックした友達にメリットを与えることは難しいですが、フラッシュマーケティングの場合、リンクを設置した側、クリックした側、両方にメリットがある。その意味では、アフェリエイトが超えることができなかった壁を、やすやすと超えてしまったのではないでしょうか。非常に可能性が大きく、使い方によっては、このサービスだけでマーケティングが成り立つ企業も登場すると考えています」(中村氏)
同サイトでは、まずはコスメ・雑貨・食品などの物販からサービスを開始。9月下旬から10月上旬には、関東近県のホテル、飲食店といったサービス業の店舗を追加し、徐々に地域、業種、出店企業数を拡大していく予定だ。
「フラッシュマーケティングは始まったばかりなので、今後どうなっていくか見守る必要はありますが、理論上は今までのマーケティングの中でも、低リスクで低コストな手法だと思います。サイトを運用していくうちに、値引き以外のオファーによる成功事例なども生まれてくるのではないかと考えています。50人が商品を買ってくれると、またその友達が買ってくれるような理想的な形を築ける仕組みを提供しながら、リスティング広告やクーポン雑誌などと比較して、『ここが1番いいよね』と言っていただけるよう成長させていきたいですね」と中村氏は、今後の展望を語った。