数値では測れない“商品棚の前で思い出してもらえる絆づくり”を目指して
―――
広告はお金を使って広く浅く、ネットはお金をかけずにじわじわ深くですね。SMMは時間がかかり、効果が見えづらいと言われますが、社内での評価はいかがですか?
丸山
お客様を追いかけてテレビCMを流し続けても、認知度が急激に上がるかというとそうでもない。テレビCMも影響力という点では計りづらいと思いますよ。
その点、Webプロモーションは反応がとても早いし、それがどんどん好意的に変化していく様子が見えて、ある意味分かりやすいです。かかる費用も大分違いますしね(笑)。
―――
最終的には「売上」にどう影響していくかを求められるのでは?
丸山
そこは非常に課題で、確かにSMM活動は「売上」には直結しないと思います。
ただ、「C1000」は販売チャネルのメインがコンビニエンスストアなんですが、コンビニエンスストアに飲み物を買いに行く時、「○○を買おう」と具体的な商品を思い浮かべている方は少ないと思うんです。
棚の前で「何を買おうか」と思った時に、値段やオマケ以外の選択基準があるとしたら、それが「これまでの心の結びつき」なんじゃないかと思います。消費者との距離を縮め、そこに「絆」をつくる、それこそがSMMをやる意義だと思っています。
―――
モニプラ(SMMプラットフォームサービス)を使ったSMMはどのような取り組みから始められたのですか?
丸山
公式HPの制作企画運営にモバイルサイトにプロモーションも、と結構バタバタしていたので、開始当初(2008年10月)はあまり活用できていませんでした。
それぞれをうまく連動させる計画をしっかり練る必要を感じて、現在実施中の「げんきいろプロジェクト」を始める頃(2009年春)にようやく少しずつ始めたという感じです。
―――
モニプラを始めるとき、「こんな活動をしよう」とか「こんな風に活用したい」など、何かお考えになったことはありましたか?
丸山
弊社では一通りのソーシャルメディアを使った施策を実施しているのですが、その中で当時「モニターブログ」というのが面白くないと感じていたんです。
「商品を褒める」というポイントで画一的に書かれたブログが露出されているのは、バナー広告と変わらないようなイメージでとても残念でした。せっかく実際の商品を体験した人も「モニターブログはこう書くべき」みたいな暗黙の了解で、横並びの感想を書いているだけのような...。だから、「どうせやるならお互いにもっと楽しい事をやりたい!」と思いました。
―――
広告的には、単純に商品についてたくさんのブログが書かれて、それがたくさんの人に見られるということだけを考えてしまいがちですが、もっと本質的なところを感じていらしたんですね。
丸山
私も自分でブログを書いていてよく感じるんですが、いざ書こうと思ったけどネタがないと困っている方が結構いると思うんですよ。だから、自分がSMMをやるときは、ブロガーさんがブログに書いて、お友達に読まれても恥ずかしくないネタを提供したいと考えたんです。
今も、季節ネタのような、普通にブログに書いても良いなと思えるネタに、「バーゲン」とか「年末」とかちょっと検索にかかりそうな要素を加えたりして、とにかく書かれたブログを読んだ人に面白いと思ってもらえることを基準にテーマを考えています。
―――
でも、それだと商品の露出が減ってしまいませんか?
丸山
もちろんタイトルに商品名を入れたり、素材として商品画像を提供したりはしますが、あまり商品露出を意識しすぎた形でやってしまうと、最初に感じたつまらなさが出てきてしまうと思うので...。
―――
2、3年位前の、いわゆるブログを広告媒体としてみていた考え方からは脱却してきたということなんでしょうか?
丸山
いろんなところで言っているんですが、私はブロガーの方々と「お友達になりたい」と思っているんです。
―――
企業にとって「お友達をつくる」という思考は、数年前では想像もつかないようなことですよね?