キーワードへの予算配分を変えるだけでROAS向上
続いて安田氏は、リスティング広告の自動化について、あるECサイトの事例を紹介した。過去の実績で、キーワードが「冷凍 カニ」を20円で入札すると、12,500円のコストで5件(売上換算すると25,000円)獲得できる。
「キッズ 通販」は40円で入札し、コスト15,000円で3件(売上換算すると18,000円)、「おしゃれ ベビー布団」に30円で入札すると、3,750円で1件(売上換算すると5,000円)というデータがあった。
これら3種の合計は38,125円のコストで売上53,000円となる。この場合、広告費用1円あたりに対して得られた売上額の指標であるROASは139%となる。
これを、「冷凍 カニ」は20円のまま「キッズ 通販」は35円、「おしゃれ ベビー布団」を50円でそれぞれ入札すると、コストの合計は31,250円、売上は48,000円となった。ROASは154%となり、全体的なコストはあまりかわらないが、より効率的な運用になっている。キーワードへの予算配分を少し変えるだけで、効率は改善されるのだ。
この例では3種のキーワード改善がなされたが、キーワードが数万となる実際の運用では、さらなる効率アップが見込まれるだろう。
膨大なデータから最適解を探しだす最適化技術
キーワードへの入札金額など、最適な広告パターンは過去の実績から導きだせる。しかし、データ量は膨大で、人の力で見つけることは困難だ。
多くのリスティング広告の運用では、CPC(Cost Per Click/1クリックあたりの広告単価)やCPA(Cost Per Acquisition/1件あたりの獲得単価)を見ながら担当者がチューニングをしているというのが実態だ。担当者が代わってパフォーマンスが下がってしまうという事態に陥ることもある。

この問題に対し、同社のデータマイニングや最適化の技術が活用できる。
Yahoo!やGoogleなど、広告媒体が提供するAPIにあるデータを活用し、それらを分析すると精度の高い予測が可能となる。入札価格に対して、どれぐらいのクリック数があるのか、コンバージョン数があるのか、売上があるのかなどを、予想することもできるというわけだ。
ここで安田氏は、実績値、同社による予測値、媒体側が提示する予測値を比較したグラフを披露した。

青い線が実績値、赤い線が同社の予測、緑色の線が媒体側の予測値となる。同社による予測値の誤差が-3.3%に対し、媒体側の予測値は-34.4%と、確かに高い精度で予測していることが一目瞭然だ。
また、この予測では、季節要因や曜日や時間といった外的要因も加味しており、自社だけでなく、同じキーワードを入札している競合他社がどれくらいのコストをかけているかといった分析も可能だ。
さらに安田氏は、これらの予測は、CPCの値から入札単価を上下させるといったルール設定にも有効だと説明した。
予測から広告を実行した後は、それを最適化していくことが効率化につながる。安田氏は、最適化計算について、「旅行」「沖縄」「北海道」の3つのキーワードをCPC200円で運用しなければならない場合の分析を例に説明した。
通常の運用では、キーワードごとにCPC200円をあてはめる。この場合、「旅行」は表示順が4位に、「沖縄」は8位「北海道」は3位となり、クリックは65、コストは13,000円となる。
