マーケティング部長に求められる3つのポイント
1.目標設定
マーケティング部長にとって重要なことは、全体を俯瞰し、課題を整理しながら長期・中期・短期の目標を設定することである。その際、経営者の理解を得ながらパートナーを巻き込み、リーダーシップを発揮して現場をまとめる力が求められる。最近では、部長が現場に引っ張られて、その場の事情で短期の暫定的な施策を行っている残念な組織が多くみられる。マーケティング部長は現場よりも一つ上の視点から「数字と世界観を併せ持つことが大事だ」と青葉氏は強調した。

2.KPI設定
ROIの検証をするため、KPIは必須である。まず、経営目標と直結するようなマーケティング目標を定め、それを達成するためのKPIや準KPIを設定する。ここで注意すべきことは、手段が目的化しないことだ。KPI達成が目的ではなく、その先のマーケティング目標を達成することを常に念頭に置いて、末端の個別施策のKPIを設定する。
また、青葉氏は「世間軸と独自軸のKPIが必要だ」と説き、一般的な評価軸と自社独自の仮説に基づいた評価軸を定めることも必要となると話した。以下にその例と、KPI設定の際に活用できるサンプルシートを紹介しておく。

企業や事業ごとに、サイトの位置づけや役割は異なる。この中でも「獲得型・商品販売型」の業種は成果が売り上げに直結するため、従来のマスマーケティングからROIマーケティングに早くからシフトし、より緻密に計算されたマーケティング手法を確立しているので参考にするとよいと青葉氏は語る。

3.実行体制
実行体制では、利害関係者(経営/事業・パートナー・社内チーム)との連携が重要となる。各方面からさまざまなことを要求されるマーケティング部長は、非常に複雑なかじ取りを求められている。
経営・事業
経営・事業クラスに対しては、「売り上げ・利益・コスト・ROI・期間・人・計画」の項目において、マーケティングでできることをクリアに説明する必要がある。課題とやること、それによって得られるリターンを明確に示すことが大切だ。「ここの握りができるかどうかで、マーケティング部長の力量が測られる。上から信用されないマーケティング部長は、予算が出ずにチームとして機能しなくなる」と青葉氏は語る。
社内チーム
社内チームに対しては、コミットと数字目標を提示し、関連部署と連携できる体制、人材の確保が必要である。また、人材の転職や部署の再編などの可能性を考慮し、育成や採用活動についても計画しておかなければならない。
パートナー(専門家)
パートナーに対しては、その努力に対して適正な利益を支払い「トヨタとデンソー」のような密接な関係を中・長期的に築く必要がある。それにはマーケティング部長自身が自社のマーケティング目標に対して明確な達成イメージ描き、パートナーに対して目標の共有や理解を得なければならない。これができないと広告やシステムの押し売りを受けて、目標達成とは程遠い結果になることもあるため、注意してほしい。