PC・モバイルなどのチャネル別に配信画像を自動最適
続いてのポイントは、指で操作するタッチスクリーン式のiPhone/iPad、GALAXYなども含め、特にモバイル端末への対応を強化したところ。
従来もモバイルサイト向けに画像のサイズ・解像度・フォーマットを設定してやることで、1枚の画像データをさまざまなチャネルで活用できていた。それが今回のアップデートで、設定作業を自動化。オリジナルの画像をScene7に置き、指定すれば、、PC、タブレット、スマートフォンといった端末ごとの画面サイズに適した画像サイズに変換して、配信してくれるようになっている。

また、モバイル端末として無視できない存在となってきている、iPhone/iPadはFlashを正式サポートしていないため、アップデート前はScene7からiPhone/iPadにFlash形式の動画ファイルを配信できなかったが、今回のアップデートでその課題を解消。動画ファイルを自動エンコードし、mpeg形式でも動画を配信できるようになった。
「(Scene7に対する顧客からの)唯一最大の苦情は、『(iPhone/iPadで)動かないじゃないか』ということでした(笑)。Flashだけに対応していたのが、ダイナミックHTMLにも対応し、iOSでも十分に動くようになりました」とダルグレン氏。
この2つ以外のポイントとして、動きのあるバナーにも対応。従来からPhotoshop形式の静的なテンプレート内の要素を修正するとWeb上で即時反映できるようにはなっていたが、アップデート後はFlashなどの動的なファイルもサポート。アニメーション、画像の回転/差し替えなど、動的な表現にも対応できるようになっている。
最後のポイントは、Web-to-Printのアプリケーション開発を簡単にするSDK「Web-to-Print Solution Accelerator」を追加した点。Web-to-Printとは、CSで作成したファイルをScene7にアップすると、Web上からポストカードの宛名、チラシの目玉商品の画像と価格、営業担当者の連絡先、といったデータを修正した上で、紙での印刷に十分なクオリティでプリントできる機能だ。
マーケターだけでサイト運用・改善が実現できる時代に
Scene7は制作の手間・コストを減らしながらも、リッチな表現で製品を訴求できることから、日本でも通販大手のフェリシモやピーチ・ジョンなどが導入。Eコマースに力を入れる大手小売企業や消費財メーカーなどからの引き合いが増えてきているという。
さらにiPhone/iPadなどの端末が普及する中、家庭内でくつろいで使えるiPad向けにeカタログを提供しようと考える企業が増えているようだ。2つ目の特徴として挙げたPC・モバイルといったチャネル別に画像を自動最適化して配信する技術にも、ますます注目が集まっている表れだ。リッチなユーザー体験の提供、画像制作の手間・コストの削減など、Scene7導入にはさまざまなメリットがあるが、Scene7の顧客から確実に評価されているのが「IT部門への依存度が低くなる」ところなのだとか。
1つ目のポイントで取り上げたように、CS5やSiteCatalyst、Test&Targetとの連係が強化されたことで、最初にシステム構築さえ済ませてしまえば、運用フェーズではIT部門、時にはデザイナーにすら頼る必要はない。マーケターや、Eコマース担当者が自分でコンテンツを更新して、A/Bテストを繰り返すことができるようになるのだ。
システムに詳しくない新米マーケターでも話は同じ。Scene7側でトレーニングは用意しているが、直感的に操作できることから長時間のトレーニングを受けなくても、更新などの運用業務がすぐにできるようになると好評だという。「教育コストの削減につながる」という声もあるようだ。
IT部門に負荷を掛けず、コンテンツの制作、管理・配信、分析・最適化という一連のフローを、マーケターの力だけでスピーディーに回せるようになる。それが、今回のアップデートでより強化されたScene7の魅力の1つなのではないだろうか。
