ニーズを喚起するバナー広告の効果を正確に評価
それでは、ここからロゼッタストーンがバナー広告の効果を正しく把握する際の課題を紹介していこう。
ロゼッタストーンでは従来、アクセス解析ツールと各広告の管理画面などを使って広告効果を測定していた。解析ツールではセッションが切れると広告効果のカウントも切れ、次回の来訪時に踏まれた広告効果だけがカウントされていた。つまり、複数の広告を踏んで何度もサイト来訪したユーザがコンバージョンに至った場合、ニーズを喚起する段階や競合製品との比較検討の段階で貢献した広告の効果は無視され、購入の直前にクリックした広告だけが評価されていたのだ。

また、複数のツールからデータを引っ張っていたことにより、1つのモノサシ・同じ基準で広告効果を比較評価することが難しかった。
そのために、以前から「語学を学びたい」というニーズが顕在化する前の段階からアプローチして、自社製品のユニークさを伝える必要性を感じていた。そこで新しくツールを導入しようと考え、いくつかのツールを検討した結果、ウェブアンテナを導入したのだった。
「ユーザは購入に至るまで、どんなフェーズをたどるのか。以前から『1回連れてきただけで購入していただく』ではないと思っていました。私たちとしては、とにかく人を連れてきて製品を理解してもらう、実際に『欲しい』と思ってもらう、快適に製品を購入してもらう、と目的別にフェーズを分けて考えていましたが、ユーザの動きがはっきり見えていなかったのです。そこがウェブアンテナで見えるようになったのは非常に大きい」。
同事業部ディレクターの鈴木知行氏(写真右)は導入の意義をこのように語っている。
今後はバナー広告との接触から購入までのユーザの動きを精緻に分析
これまで見えなかった購入に至るまでの動きが分かるようになった。潜在層にアプローチした成果を正しく把握できるようになったので、鈴木氏、藤本氏の両氏とも、今後はバナー広告の効果を正しく精緻に分析していきたいという。
「バナー広告が効果的なことは分かりましたが、試行錯誤を始めたばかり。どんな媒体で、どんな種類のディスプレイ広告を出稿すると、初回/最終接触等のどのフェーズに貢献するのか。これからPDCAを回すことで、そこを精緻につかまえていこうと思います。ラストクリックだけにフォーカスするのではなく、本当の意味での広告効果を評価していきたいです」(藤本氏)
「風が吹けば桶屋が儲かる。そこまでは実証できましたが、風が吹いたら次に何が起こるのか、なぜ桶屋が儲かるのか、まだ完璧に把握できているわけではありません。ユーザの動きを精緻に捉えた上で、サイトでのユーザとのコミュニケーションを最適化するところまで踏み込んでいきたいですね」(鈴木氏)
