海外でのメール到達率は平均80%台 ― 日本とは異なる法律・フィルタリング対策が必須
村田製作所にとって、MailPublisherを導入した成果は中国語でメールを送れるようになっただけではない。メールの到達率が83%程度だったものが90%強にまで改善した。離職した技術者のアドレスを判別し、自動的にリストのクリーニングができるようになったことが到達率向上の要因だ。
「メール到達率は国によって異なりますが、おおよそ80%台と言われています。国内ではメール到達率のアップが重要な課題となりつつありますが、海外でも重要な課題となっているんです」とエイケア・システムズの北村氏。国が違えば関連法規の違いが存在するし、ISPなどの通信事業者が違えば迷惑メール対策にも違いがある。例えば、ISPごとに「一度に何通以上送られてきたら遮断する」といった閾値の設定も違ってくるという。
また、日本に「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特電法)」があるように、各国にも独自のルールがある。例えば企業からプロモーションのメールを送る場合、中国では件名に「AD」と付けることが義務付けられている。あるいは韓国では夜間から早朝に掛けての時間帯でメールを送るには、通常のオプトインとは別の承諾が必要になるといった具合だ。
これら、国別のシステムやルールといった違いを自社で逐一把握し、配信先の国ごとに対応していくことは極めて困難。膨大な労力が掛かってしまうため、事実上不可能だ。さらに、国内のメール配信システム各社にとっても、“海外向け”となると経験値も少なく、未知数の部分が多い。こうした点を、エイケア・システムズでは、業務・資本提携を結んでいるエクスペリアンとの協力によりカバーしていくという。世界各国でデータ分析・マーケティング支援関連の事業を展開するエクスペリアンは、50カ国・25以上の言語でExperian CheetahMailというメール配信システムを提供しており、そこで蓄えたノウハウをエイケア・システムズと共有しているのだ。
「エクスペリアンは中国やヨーロッパなど、世界中のかなりの地域を網羅してサービス展開しています。そこで得た各国の技術情報を、ミーティングなどを通じて当社と共有し、積極的に活用をし始めているところです」(北村氏)
エイケア・システムズでは、技術面での支援だけでなく、さらに各国の迷惑メール関連の法律についても必要な情報を提供していくという。海外でのメールマーケティングに本腰を入れていくのなら、システムだけでなくサポートも充実している点は、評価できるポイントなのではないだろうか。
多言語対応は標準サービス内で利用可能。今後も海外向け配信の機能強化に注力
ここまでに取り上げてきたMailPublisherの外国語対応の機能/サポートは、オプションサービスではなく、標準サービスの中で利用できる。特に難しい操作は必要なく、通常の管理画面から本文作成時にプルダウンで言語を選択するだけ。同じ画面内でプレビューもできるため、ユーザーに届くメール内容を確認してから送ることができる。
さらにエイケア・システムズは、MailPublisherの海外向けメール配信の機能を強化。既に送信ドメイン認証技術「DKIM」に対応し、通常のメールが迷惑メールに振り分けられてしまうリスクを低減した。「DKIM」は日本ではまだそれほど普及していないが、世界標準技術として海外で広まっている。これも無料のオプションとして利用することが可能だ。
エイケア・システムズの北村氏は、海外向けメール配信の動向について「メールは安価で効果測定もしやすい。そういう点では、進出して間もない海外において、まずはメール配信から取り組もうと考える企業は今後ますます増えるのではないか」と見る。提携先であるエクスペリアンと知見を共有しながら、企業からの正規のメールを必要とするユーザーにきちんと届けられるよう、「到達率の向上は飽くなき追求。妥協せずに高めていきたい」と語る。
本稿でも触れている、村田製作所の詳細な事例をまとめたPDF資料を公開中! 下記のリンク先よりダウンロードが可能です。
また、エイケア・システムズのWebサイトでは、今回の内容に関連したホワイトペーパー『海外向けメール配信を行うには -導入編-』も、公開中です。
- 各国の法規制に基づく配信ルール
- 各エリア・国・ISPによるメール到達率
- 海外配信を実現するためのベストプラクティス
など、海外向けメール配信を行う際に参考になる情報が、まとめてあります。ダウンロードはこちらからどうぞ。