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事例から読み解くユーザービリティ改善の勘所

【事例】SEShopで実験!コンテキストで異なるユーザーの閲覧行動を探る


人には人の事情がある

 今回、この「受胎告知」という作品を閲覧してもらう際に、次の2つの方法を試してみました。

  1. 事前に何も説明をせずに作品画像を表示した場合
  2. 作品に関する解説をあらかじめ読んでもらったあとに作品画像を表示した場合

 同じ作品を同じ時間(15秒間)画面に表示して、閲覧してもらったのですが、図のように、それぞれのグループで注目しているエリアが異なっていることが分かります(緑⇒赤 閲覧時間の長さで変化、赤い部分は閲覧時間が長い部分)。

図1 事前に何も説明をせずに作品画像を表示した場合
図2 作品に関する解説をあらかじめ読んでもらったあとに作品画像を表示した場合

 1と2の条件でそれぞれ数人に閲覧してもらった結果を簡単にまとめると、(統計的に有意なデータサンプル数ではないのであくまで参考例ですが)

【説明なしで作品を見てもらった場合(図1)】
 人物の顔を中心に、画面の中心エリアがよく見られている。また、閲覧後のヒアリングでは、初めて絵を見た被験者の中には「これは何だろう?」と疑問を持ったエリアに視点が長く見ていたと答えた人もいた。

【解説文を読んでから閲覧した場合(図2)】
 作品画像を見る前に読んだ解説文に書かれているエリアで閲覧時間が長くなっている。

 といったように、長く閲覧されているエリアに違いが見られ、図2では、事前に読んでもらった解説文に書かれていた内容が閲覧結果に影響していることがわかります。このように、被験者の目の動きは、どういった流れで絵を閲覧しているのか?(今回の例のように、作品解説を読んだ直後に閲覧したなど)といった「コンテキスト」や、画面を見ている際に、何を探しているのかといった「目的」、すでにそのものを知っているのかといった「経験、知識」などによって異なるといえます。

Webサイトも結局一緒

 レオナルド・ダ・ヴィンチの作品を例に、お話をしましたが、Webサイトでも同じようなことを考えることができます。

  • はじめてサイトを利用する/何度もサイトを利用している
  • 新製品の購入検討をする/利用している製品のサポート情報を探す
  • 情報検索時/情報閲覧時

 少し考えただけでも、いくつかのパターンが思い浮かびます。例えば、情報検索時は左右のナビゲーションエリアを、情報閲覧時はメインコンテンツエリアを視線は動きます。

目的によって異なる視線の動き

 「受胎告知」の作品を見てもらったときと同じように、同じページを閲覧している場合にも何か探しているものがあるときと、記事などのページ内容を読んでいる場合で違いがあり、同じUIを見る場合でも、ユーザー属性や与えたタスクやその時の気分のようなもので眼の動きが大きく変わることがわかります。

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SEShopで実践、アイトラッキング分析

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この記事の著者

矢野 絵美(ヤノ エミ)

中央大学大学院理工学研究科で感性工学を専攻。修了後、株式会社ミツエーリンクスに入社。現在はWebアナリストとして、アクセスログ解析やユーザビリティに関するサービスを担当している。これまでに、80社を超える大手企業サイトの診断・コンサルティングを実施している。
日本感性工学会 会員。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/07/06 12:15 https://markezine.jp/article/detail/1354

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