新しいマーケティングの学校へようこそ
今回は700社から2600人が参加している、とデータドリブンなスピーチで幕を開けたAdobe Omniture Summit 2011。オムニチュア事業部門担当副社長のブラッド レンチャー氏は今回のテーマを“Art + Science”と設定しつつ、
“Welcome to the New School of Marketing"(新しいマーケティングの学校へようこそ)”
と挨拶した。
昨年のメッセージは「次の10年はCMOの時代になる」だったが、解析や最適化などのデジタルマーケティングの重要性が認知された今、より具体的な戦術が必要であり、我々が今まさにそのルールを作り上げている、というわけだ。
筆者は昨年の教訓を活かし、知りたいことと、参加するセッションを事前に決めておいた。今回は、その知りたかったことと分かったことを3点紹介したい。
1. ソーシャルメディアにどう取り組んでいるのか?
日本でもここ数か月で急速にFacebookの普及が進んだが、USではどうなのか? TwitterよりもFacebookが普及しているのはなぜか?
その答えはもっと大きなものだった。
ヤング&ルビカム社のチーフ・インサイト・オフィサー(Chief Insights Officer)、ジョン ガーズマ氏は基調講演の中で、消費行動のトレンドが「マインドレスな消費」から「マインドフルな消費」へ変化している、ソーシャルメディアによるコミュニケーションの変化に加えて景気後退もその後押しをした、と主張した。
「ミステリアス」で「コンフィデント」(自信満々)だった消費に代わり、今では「親切」「高品質」「フレンドリー」であるが重要だ、と。
確かに、マーケティングというよりもビジネスそのものが変化している。
そのような状況で、モバイルやソーシャルネットワークの活用が進むのは、流行というよりも必然的な流れなのだろう。今回のサミットでも、「Discoverでソーシャルのセグメントを作る方法」「Facebookの広告を最適化する方法」といったより戦術的なセッションが増えている。
この流れを受けて、今回の目玉の一つである新製品「Adobe SocialAnalytics」(アドビ ソーシャルアナリティクス)が発表された。
Twitterの解析についてはすでに数多くの他社サービスがあり、Adobe SiteCatalystを使った方法についても以前に別の記事で紹介したが、この新製品のポイントは、FacebookやTwitterなど複数のソーシャルネットワークに同時対応し、さらにトラフィックとコンバージョンなどの解析データと統合できるという点だ。
これら複数の指標のトレンドをグラフ化することで、因果関係を素早く発見できる。ソーシャルネットワークにおける変化を迅速に察知してエンゲージすることで、炎上を防いだりバズを増幅するなどの対応が可能になるため、この意味は大きい。
Adobe SocialAnalyticsの正式リリースは2011年の第三四半期になる見込み(日本は未定)だが、筆者はサミットの前日に開催されたクローズドな戦略会議に参加することができた。
世界のトップ企業が集結し、濃い議論が交わされた。話題は既にリリース後の次期バージョン2.0にまで及ぶ。製品の機能やデザインには、先駆者のノウハウが詰まっているのだ。