mobionユーザーの満足度を上げる取り組みも
リアル店舗のモバイル会員サービスを利用したいという人の多くは、その店舗の会員になることが目的であり、当初からmobionへ入会したい訳ではない。そうしたユーザーに価値を提供し、継続利用、さらには収益へと結び付けるために重要となるのが、mobion自体のユーザー満足度を上げるための取り組みである。
例えばメールマガジン。店舗会員に登録するとメールマガジンが自動的に届くようになる上、その配信の解除の仕方が分からないという質問が、当初は多く寄せられていたという。だが現在では、メールマガジンのリンクを3日間選択しなければメールが配信されないようになっている。
またmobion自身のメールマガジンや、広告のメールも止められる仕組みを用意しており(筆者が確認した所、現在のメールマガジンを見ても下部に配信停止用のリンクが設けられている)、そうした問い合わせはほとんどなくなっているとのことだ。
一方で増えているのが、近年増加しているスマートフォンへの対応に対する要望だという。提携企業からも、スマートフォン所有者に差別することなくサービス提供して欲しいという要求があることから、mobionのスマートフォン対応は積極的に進められており、2011年2月14日にはiPhone向け対応を開始。
さらにApp Storeで60万ダウンロードを記録した「mobion music」を皮切りとして、スマートフォン向けのアプリケーションやサービスを多く提供することで、認知度を高めていくようだ。
これまでは提携店の拡大を重視してきたが、現在400万もの会員を獲得したことから、これからはmobion利用者の満足度を上げる取り組みも進めていくという。
もっとも、現在のmobionはあくまで通過点であり、1億以上のモバイルユーザーと、飲食・小売りなど商業活動をしている企業、そしてmobionの3者がWin-Win-Winになるエコシステムを築くことが目標にしているのだそうだ。
リアル店舗を運営する企業に対し、無料でモバイル会員システムを提供するというGNTの大胆なビジネスモデルは、多くの企業にとって真似することは難しいものだといえよう。だが取り組みそのものを見ると、モバイルとリアル店舗との連携、さらにはモバイルを用いたマーケティングにも通じるものが多く詰まっているように感じる。
プラットフォーム事業者がユーザーを多く獲得することで“一人勝ち”するというビジネスがもてはやされる昨今だが、ユーザーや企業の現場により密着したモバイルの世界においては、それとは別の要素が求められているといえるのではないだろうか。