動画トラフィックはどこまで伸びるのか
━基調講演の中で、「米国におけるトラフィックの約半分が動画コンテンツのトラフィックになっている」とおっしゃっていました。今後どこまで伸びると考えていますか。
動画トラフィックは年間で30%~50%伸びている傾向あります。現在は、PC環境で閲覧している人たちが多い状況ですが、スマートフォン、タブレット端末、そして今度はスマートテレビが普及し、それらのデバイスでの視聴も増えてくるので、今後も同様の成長率を見せるのでは、と考えております。
━企業の動画の活用の動向に変化はありましたか。
BtoC、BtoB全ての業種で動画のマーケティングが進んでいる状況です。BtoCサイトであればEコマースサイトや高級ブランドサイトでの活用が特に進んでいます。BtoBではIT系の複雑な製品を提供している会社が複雑な製品を紹介する動画をサイト上に掲載し、ユーザーの製品理解を促進する目的での使われ方などがされています。また、最近ではオンライン上でセミナーを行いそこからリードを獲得するといった使われ方も一般的になっています。
米国マーケターの間でもFacebookはホット
━今回のカンファレンス内でのセミナーではソーシャルメディア、特にFacebookに関する話題も多かった印象です。
動画とソーシャルメディアは非常に相性がよいので、動画を使ってマーケティングを行う場合は、その前提として如何にソーシャルメディア上で拡散できるのか、というのが1つのポイントとなります。ソーシャルメディアの中でも、特にFacebookと動画は相性が良く弊社サービスのトラフィックを見ても、急増している状況です。
━LGエレクトロニクスとの提携も印象的でした。
今回のLGエレクトロニクス社との提携は、スマートテレビの普及を見越しその布石となる提携だと思います。アプリを提供する側の立場としては、スマートフォン、タブレット端末にアプリをリリースする際に、それぞれのデバイスごとに対応が求められている状況です。さらに、スマートテレビへもアプリを提供するとなった際にはさらに面倒なことになります。弊社のプラットフォームを使えば、そのような煩わしさから解消されるようにすることが狙いです。
スマートテレビはニューコンピューティングデバイス
━スマートテレビについてもう少し教えてください。テレビを代替する存在となっていくのでしょうか?
そういった側面もあるかもしれませんが、私はスマートテレビを新しいコンピューティングデバイスだと考えています。“テレビ”というイメージが強いので、映像を見るデバイスというイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、スマートテレビ上ではFacebookやTwitterといったコミュニケーションもできますし、コマースを利用してモノを買うこともできます。
つまり、単にテレビを代替する存在ではなく、新しいコンピューティングデバイスと言えるのです。そしてスマートテレビを利用する環境はリビングになるので、ユーザーのモチベーションもPCと向かい合っている時とは違うはずです。
現在のスマートテレビのマーケットはiPhone登場前のモバイルマーケットと似ていると言えるでしょう。iPhoneの登場以降、モバイルマーケットはアップルとグーグルの2強となりつつあります。現在のスマートテレビのマーケットは、アップル、グーグルに加え、サムスン、LGエレクトロニクス、パナソニック、ソニーといったメーカー勢も名乗りもあげている状況です。今後はモバイルマーケットと同様に勝ち組と負け組がはっきりしていくのではないか、と予想しております。