「A&E」実践の4ステップ(Experiments/実験)
講演後半では、遠藤氏はExperiments/実験についての解説を進めた。
ステップ3:トライ&ラーンで施策を繰り返す(Experiments/実験)
出稿媒体の変更、クリエイティブ修正、サイト改善など、どのくらいの頻度で施策を実行すべきか。この疑問に対し、遠藤氏は「仮説に基づいた施策を高い頻度で打ち続けることが成功の鍵だ」と説く。
A&Eは回転率が早ければ早いほど、多くの実験結果が得られる。例えば、毎週1%ずつでもよいので、成果を上げることができたとすると、複利で計算した場合は、1年間で1.6倍の成果を出せたことになる。同じ人員でこれだけの成果を出せるのであれば脅威的だ。
ここでも、遠藤氏はサントリー酒類の事例について紹介。サントリー酒類では週1回施策会議を持ち仮説・実験を繰り返しているという。
「サントリー酒類様では、1週間の中で必ず施策を打つことを義務づけています。その理由は施策を打てば打つほど知見が溜まるからです。これまでトライ&エラーという言葉がありましたが、これからは矢継早に施策を回していく“トライ&ラーン”で取り組んでいくとが大切です。」
ステップ4:無駄な指標は見ないで結果だけをチェック(Experiments/実験)
アクセス解析で様々な指標をチェックしていても、アクションにつながることはほとんどないと遠藤氏は断言する。A&Eを速く回すためには、シンプルに施策の「結果」だけを見ることで、検証に無駄な時間を費やしてはならないのだ。
「角ハイボールのキャンペーンの際にも当初の仮説とは違う結果になったことがありました。そこで、施策の方向転換を図ったところコンバージョン率のアップにつながった経験があります。この方向転換は1週間で行いました。キャンペーン期間は12週間あったのですが、最初の1週間で方向転換を図り、残りの11週間で巻き返しを図ることができたのです」とし、速やかに検証を行うことの重要性について強調した。
さて、ここまでA&Eを実践するためのステップを見てきたが、A&E型の業務を遂行していくためには、施策に対する結果をシンプルに把握し、業務を効率化するための基盤ツールが必要となってくる。その基盤ツールとして講演で紹介されたのが、ビービットが提供する効果測定ツール「ウェブアンテナ」だ。
ウェブアンテナは施策の結果を一覧で把握することが可能であり、極限までシンプルに設計された管理画面により誰でも簡単に操作ができる設計となっている。冒頭でサントリー酒類がキャンペーンのPDCAサイクルを劇的に短縮させ飛躍的な成果を生み出したと触れたが、それを裏で支えていたのがウェブアンテナだったのだ。
最後に、遠藤氏はこれまで紹介してきた事例を踏まえ、講演の最後を次のように締めくくった。
「継続的に成果を上げるには、これまでの分析型の業務をやめ、A&E型の業務に移行しなければなりません。そしてA&Eをできるだけ高速に回転させるための体制・組織を作っていくことが重要と言えるでしょう」