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MarkeZine Day 2025 Autumn

担当者に聞く! 成功キャンペーンの裏側

対象商品売上が全世界トップに!
mixiソーシャルバナーを活用した「NIKEiD FRIEND STUDIO」キャンペーンの全貌

来訪者数/CTR/トラフィック/売上/ブランド認知、すべての数値で驚異的な結果に

 キャンペーン開始後、告知用のバナー等をフックに、「NIKEiD FRIEND STUDIO」は徐々にユーザーの間に浸透。ユーザー同士がシューズやバナーのカスタマイズを楽しみながら、人から人へと伝播していった。「今までのキャンペーンと違うなと感じました。マスメディアは反響があるが、その瞬間だけの一過性。しかし、今回のキャンペーンの場合は、24時間じわじわと広がって行く感じがしました」と西村氏は振り返る。

 アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』や『ガンダム』などのキャラクターを模したカラーリングのシューズが投稿されるなど、「こういう遊び方もあったのか」と制作サイドも意図していなかった使い方も多く見られたという。また、mixi上のキャンペーンであるにも関わらず、Twitter上でもかなりの数のTweetが発生していた。コミュニケーションの場として広告を提供することで、キャンペーン自体が仕掛けた側の手を離れ、爆発的に拡散していったと言える。

 その結果も、予想をはるかに上回るものとなった。下の表は、mixi上におけるキャンペーン結果の概要だ。

mixi上のキャンペーン成果
項目 成果
キャンペーンサイトへの来訪UU数 約213万人
(PC/モバイル重複含まず)
ソーシャルリーチ率
(※ソーシャルバナー、またはmixiチェック経由でのキャンペーンサイト来訪率)
80%
ソーシャルバナーのCTR
(※通常バナーとの比較)
PC版:約11倍
モバイル版:約16倍
「COOL!」ボタンクリック数 約640万回

 「25日間でのべ約300万人が参加したmixi Xmas 2010はプラットフォーム側主催の“お祭り的なイベント”でしたが、今回はあくまでブランドの広告キャンペーンなので、ユニークユーザー数は50万~100万位ではないかと予測していました。しかし、実際は3週間で213万。概算でも、“ユーザーの平均マイミク数40人”と“キャンペーンサイトで生成されたオリジナルシューズのバナー約50万足”を掛け合わせると2000万ものフィードが飛んだことになります。世界的に見ても、単一ブランドのデジタルのキャンペーンとしては、すごい結果だと感じています」と新田氏が語るように、ミクシィにとっても予想以上の数値を叩きだした。

 また、前例を見ない試みということもあり、ナイキジャパン側では、ひとまず「NIKEiDサイトへのトラフィック」をKPIに設定し、“20%伸びれば成功”と考えていたというが、実際には約2倍にまで増加。さらに、カスタマイズ対象商品の1つである「Nike Dunk」の売上において、世界トップレベルの数値をたたき出した。これは、昨年の同期間と比較すると5倍以上の売上となり、北米やヨーロッパに比べて小さな日本の市場規模を考えると異例のことだという。

 “プレゼント企画”と“サイトへの誘導”が、仕組みとして共存しているキャンペーンではあったものの、“売上”を狙っていたわけではなく、楽しんでもらうことに主眼を置いていたため、「これほどの購入者が現れるとは思っていなかった」と関係者一同が漏らす。自分で買うだけでなく、友人の趣味が分かってそのままプレゼントとして利用されるケースなども散見されたという。当人がデザインしたのだから、その人物の好みにはピンポイントでマッチする。贈り物としてはこの上ないアイテムというわけだ。

「ブランド認知の向上にも、手ごたえを感じています。ある大学生のグループと、ちょうどキャンペーンの前後で話をする機会があったのですが、開始前は“NIKEiDは知らない”“知っていても試したことはない”という人がほとんどでした。しかし、終了後にはみんな知っていて、“自分で体験した”“友達もやっていた”と言ってくれました。

また、NIKEiDで運用しているTwitterアカウントにも、キャンペーン開始直後から、かなりの数のリプライをもらいました。“もっと他のモデルでもカスタマイズできるようにしてほしい”など、多くの人がキャンペーンを好意的に捉えてくれたことが印象的でした」(西村氏)

 クリエイティブを担当した朴氏は「プロダクトや広告だけでなく、リテールレベルまでブランドを管理しているような企業にとって、ソーシャルバナーは強力な媒体だと感じた」と分析する。友人の行動情報と組み合わさってもユーザーに好意的に受け止められるには、醸成されたブランドイメージがモノを言う。そのコストを惜しみなく支払ってきた日頃の真価を、2倍にも3倍にも増幅させる爆発力を持った媒体と言えるだろう。

 今回、ソーシャルメディアキャンペーンで大きな成功を収めたナイキジャパンだが、今後は様々な取り組みを複合的に組み合わせていくつもりだという。

「ソーシャルメディアは、あるのが当然なインフラになると思っています。今回のような取り組みは、今後もやっていきたいと思うし、オンラインだけでなく、店舗やイベントへの誘導なども検討していきます。NIKEはスポーツを通して、感動体験をしてもらうことが願いとしてあります。ただ、売るだけではなく、ソーシャルグラフを使って、スポーツのおもしろさや感動を楽しめる環境を作って行きたいですね」(西村氏)

株式会社ナイキジャパン
リテール本部NIKEiDマネージャー
西村 真治氏
株式会社ナイキジャパン リテール本部NIKEiDマネージャー 西村 真治氏

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2011/07/28 11:00 https://markezine.jp/article/detail/14149

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