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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine編集部が行く!ネットショップオーナー探訪

1,000店舗の頂点に立ったカリスマネットショップの経営ノウハウとは

 ネットショップで成功するには、自分(自社)の事業がネットショップに向いてるいるかという点が重要です。全国どこのコンビニでも手に入る商品をネットで売るにはあまりにライバルが多すぎです。この点、私の場合は、石川県という地方にしかない九谷焼が商品だったので、ネット向きでした。

 そしてその九谷焼の中でも私はいつも手に入りにくい商品を探しています。陶芸家自身も作っておきながら忘れていたような作品を工房から見つけだして、販売するのです。焼き物が好きな方は珍しいものが好きなので、見たことのない商品がサイトに毎日のようにアップされていると、興味を持ってくれます。そしてその商品の在庫がこの世に1~2個しかない場合は、ネットショップで販売することの効果が大きくなるのです。

写真の腕は独学でも十分磨ける

 手に入りにくい商品で、なおかつ写真に映えるような商材は、ネットショップ向きであるといえます。ネットでは現物を見せることはできません。ですから写真が重要な情報になるのです。「ではプロに撮影を依頼したほうがいいのだろうか。またコストがかかってしまう」と悩むネットショップの店長さんもいらっしゃるでしょうが、プロに撮影を頼む必要はありません。私の場合、写真はすべて自分で撮っています。

 自分で撮るといっても、写真撮影の勉強などしたことはありません。また使っているカメラも一眼レフカメラではなく、500万画素くらいの普通のコンパクトデジタルカメラです。ではどうやれば上達するのか。それはとにかくひたすら撮りまくることです。新しい商品を仕入れたら満足いくまで何枚も撮るのです。だいたい毎日100枚ずつ撮ってきたことで自己流のテクニックが蓄積されました。

「デジカメでは限界がある。一眼レフじゃなきゃ」と言う人もいますが、光の当て方次第で写真はとてもきれいに撮れます。特に焼き物は影をつけて立体感を浮き立たせると良い塩梅で撮れます。和座本舗は、写真中心のサイトなので、写真一枚がそのページ、このサイトを決めてしまうこともあります。商品の雰囲気を伝えるために光を横から当てたり、被写体によって当て方を変えたりしています。

デザインの良いサイトが売れているサイトではない

 また写真だけではなく、サイトデザインも独学です。自営業だと外出する時間がないので、私自身、「買い物はネットでしかしない」という言うほど、ネットショップを利用してさまざまなものを購入します。ですから自然といろいろなサイトの良いところを吸収し、悪い点を反面教師として取り入れ、それらを自分のサイトに反映しています。またWebサイトだけではなく、紙媒体の雑誌も参考にしています。クオリティの高い雑誌を読んで、良い点を取り入れるのです。

 ただしきれいな写真を撮って、またWebサイトのデザインを良くすれば、必ずしも商品の売上増加に直結するわけではないので注意してください。というのも、ネットショップ作りでありがちな過ちが、デザインが良いサイトと、売上を伸ばすことができるサイトを混同してしまうことです。売上を伸ばすことができるサイトとは、画面の中央に最もユーザーにアピールしたい(売りたい)商品の写真を入れて、デザインよりインパクトを強く与えることに注力します。こうしたサイトは単価が比較的安い商品を扱うサイトだと、新規顧客やリピーターを確保するのに有効です。

(編集部注)インパクトを強く与えるサイトのレイアウトについては、こちらの記事の「読者の目線『Z型』のサイトづくり」をご参照ください。
ド根性主婦しのっちが超人気ネットショップを生むために使った7つの秘策(後編)

 ただし和座本舗は販売戦略上、あえてそういった方向とは一線を画しています。当サイトの場合は、比較的高額の商品を販売しているので、アピールが強すぎると逆効果です。ある程度の価格の商品をメールで、または直接お電話いただいて売買するのですからサイトには信頼感を与えるようなイメージが求められます。企業イメージをサイトで伝える必要があるのです。

EC協議会で優勝したあのサイトは…

 ひとつ参考になるサイトを紹介しましょう。年全国イーコマース協議会主催の「2007ベストECショップ大賞」を受賞したハンコヤドットコムです。私は前年に賞をいただきましたが、審査員として携わった2007年の大賞受賞者のサイトを見た時に、「去年、バッティングしなくてよかったな」と正直に思いました(笑)。ハンコヤドットコムの優れた点は、ストレスフリーなサイトであることです。

 もちろんWebサイトのデザインや機能性が優れているのですが、一般のサイトは「この商品、美味しいから買って」「この果物は無農薬だ」などと謳っており、このようなサイトは興味がない人にとっては疲れるし、煙たがられます。音楽でも、演歌やロックなどのジャンルは人によって好みが分かれますが、リラクゼーション音楽は誰にでもストレスなく受け入れられるでしょう。ハンコヤドットコムもリラクゼーション音楽と同じく、誰が見てもストレスなく見ることができるサイトなのです。言葉にするのは難しいけど、ページ力があり、判子が今必要なくても、サイトを見ているうちに欲しくなるというサイト構成だったのです。

 和座本舗もストレスをなくすある工夫をしています。その工夫とは極力文字を少なくすることです。私個人としては、お客様に知っていただきたい情報、伝えたいポイントなどがたくさんあるのですが、人は興味のない文章を読むと疲れてしまいます。ですから写真でインパクトを与え、興味をもってクリックしてもらってから、詳しい情報を読んでいただくという流れにしています。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/07/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/1428

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